ダイバースリーダーシップ推進協会 ブログ

ダイバーシティと多様性を強みに変える組織作りコンサルティング 育成のプロ集団、ダイバースリーダーシップ推進協会のブログです。

あなたの組織に「筋肉痛」は起きていますか?

【成長する組織 / 停滞する組織】

筆者はこれまで15年以上、コンサルタントとして様々な組織に関わらせていただきましたが、まさに十人十色、ひとつとして同じものはありませんでした。皆さんそれぞれに置かれた状況は異なっており、目指している姿も抱えている課題もそれぞれです。

 

さてその中で、もし仮に「”成長する組織”と”停滞する組織”の違いは?」と問われたとして、もちろんその答えも個々別々ではあるのですが、振り返ってみると確かにある種の共通点のようなものがあるようには感じられます。

 

大手/中小、外資/内資、民間/公共、、等、組織の成り立ちや置かれた環境・状況は異なっていても、確かに「この組織はきっと今後も伸びるな」あるいは「うーん、この組織はこのままでは正直この先も伸び悩むだろうな…」というものは感じ取ることができるものです。

 

それは例えば「”組織の筋肉痛”への姿勢の違い」というように言えるかもしれません。

 

【成長に必要な「いた気持ちいい」感覚】

運動のあと、筋肉痛になった経験はありませんか?筋肉痛は、運動が筋肉に刺激を与えて成長を促している過程で生じるものであり、筋肉痛が生じるからといって運動をやめてしまっては意味がありませんよね。

 

ある程度運動をしたことがある方ならご存知の通り、筋肉「痛」というとおり明らかな「苦痛」であるにも関わらず、それをある種「いた気持ちいい」ものとして積極的に負荷をかけにいくことこそ、成長への道であったりします。

 

あるいはそこまで過酷なイメージでなくとも、ストレッチやマッサージでも同様です。「いた気持ちいい」と感じるポイントこそ、ストレッチ・マッサージのターゲットだということは皆さんなんとなくご存知ではないでしょうか。

※もちろん、過剰な負荷が厳禁なのは運動も組織も同様です。「適切な過負荷」と「休養」のバランスこそがパフォーマンス向上の鍵です。

 

成長する組織では必ずといってよいほど、自分たちの組織の成長する方向に「敢えて負荷をかけている」という意識をもって挑戦しており、「いた気持ちいい」という感覚で課題に取り組んでいます。

反対に伸び悩んでいる組織では、課題は「誰かに与えられたもの」であり、それに「やってきたこと/できること」の範囲で対処しようとしており、端的に言ってしまえば「苦労・苦痛は極力避けたい」という姿勢が特徴的です。

 

【停滞する組織が陥っている無意識の偏見】

先ほどの、「成長する組織」と「停滞する組織」の自己認識の違いを言い換えると、次のように言えるでしょう。

(成長する組織)自分たちには「今はできないこと」がある(→将来はできるようになる

(停滞する組織)自分たちには「できること」と「できないこと」がある(→それは当分きっと変わらない

 

これまでの成功/失敗体験や、組織規模等、その原因は様々ですが、停滞する組織では、「自分たち自身」について、無意識のうちに限界を設定してしまっているのです。

そして「言っても無駄 / やっても無駄」という思いから、「せめて和を乱さない方が良かろう」「やれること/やれと言われていることだけやれば良かろう」と、空気を読んだ、同調的な、あるいは自己規制的な言動をしてしまうのです。

その結果、予定調和的な傾向はますます強くなり、異なった意見が積極的に出されることも、建設的な議論が行われることも少なくなり、この偏見はより強固なものへと固定化していきます。

まさに、運動しないことで筋力が落ち、関節がどんどん固くなっていき、さらに運動が遠のいていくという悪循環が生じるようなものです。

 

【「できない」「やるべきでない」という思い込みの怖さ】

この無意識の偏見は目に見えにくい分、非常に強固で手ごわいものとなります。

 

例えばまた違う場面として、「日本人の英語力」や「残業」といった問題をイメージしてみてください。もちろん「学習内容、実践機会」や「業務量管理」といった技術的・実務的な課題があるのですが、それに加えて「皆ができないことになっている」という中で「自分だけできる/やろうとする」ということに「和を乱す(空気を読まない奴になる)ことの気おくれ」という要素があったりするのではないか?そして実際にはそうした要素の影響は意外なほど強いのではないか?と言ったら、ご理解いただけるでしょうか。

 

こうした、「できない」「やるべきでない」という思い込みが実際に行動を制約してしまうという現象は、社会学・心理学の世界では「訓練された無能力」「学習性無力感」というテーマで研究の対象となっています。

 

更に学習性無力感の研究では、この無力感はグループ間で「伝染」することも判明しています。あるグループで無力な状態が示されると、それを見た他のグループさえも解決可能なはずの問題の解決に失敗するようになるのです。

昨今話題の「忖度」問題はまさにこの構図ですね。

 

【組織が「いた気持ちいい」感覚を維持し、取り戻すために】

ここまで運動になぞらえて語ってきたことからも明らかなように、自分たち自身に対する無意識の偏見(限界)が固着することを防ぐには、実のところ「常日頃から意識的に自分たちを変えるよう取り組んでみること」という「日々の運動・ストレッチ」が欠かせません。

 

例えば敢えて異質な存在(例えば女性や外国人)の比率を高めてみようとすることも一つの施策にはなりうるでしょう。しかし前回メルマガ「難易度最高ランクのダイバーシティ 意見の多様性に取組むには」でも触れたように、一見同じに見える「日本人」でも、意見のダイバーシティは本来あまた存在しています。

 

「違いがないはずだ」と思い込むこと自体が同調圧力の原因にもなりうることを考えると、まずは組織内に埋もれている異なる意見を引き出せるような取り組みも必要かもしれません。

 

また、「ストレッチ」というよりも「リハビリテーション」が必要なレベルであれば、組織内のメンバーだけで固着した状況に一石を投じるのは難しいかもしれず、外部の手助けが必要かもしれません。

 

いた気持ちいい負荷をかけるために、以前ご紹介した「リカレントエデュケーション(循環教育)のススメ」もご参照ください。

 

DLAでは、皆さまの組織の状況にあわせたプログラムを豊富にご用意しています。

ぜひいつでも気軽にご相談ください。

 

I.Y.

 

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