難易度最高ランクのダイバーシティ 意見の多様性に取組むには
難易度最高ランクのダイバーシティとは
世の中一般的に、ダイバーシティという言葉で取り上げる「違い」には、性別、年齢、人種など、ある意味明白な、属性の違いが多いものです。
一方、身近にありながら、ダイバーシティとして認識されず、活かされていないことの多い多様性が、「意見のダイバーシティ」です。
意見のダイバーシティは、乗り越えるのが最も難しいダイバーシティでもあります。制度や施策といった、敢えて言うならば杓子定規的な措置は、まず適用できません。
個々人が、人間力を駆使して乗り越えていくしかないものですが、立場や主張については、「自分が正しければ、相手は間違っている」ということになりがちであり、相手を無意識にジャッジしてしまいます。
一度ジャッジしてしまうと、そこで固定観念が生まれてしまうため、違いから学び合うほど細部を吟味して聞いたりできなくなるのです。
この、無意識のジャッジをしないために、我々は何ができるのでしょうか?
ある企業の広告キャンペーンが、そのヒントを提供してくれます。
- 話題を呼んだハイネケンのCMキャンペーン
世界中で話題になったキャンペーンですので、ご存知の方も多いと思いますが、もしまだご覧になったことがなければ、百聞は一見にしかずですので、まずはご覧になってみてください。YouTubeで動画をご覧頂けます。
所謂ネタバレというものをすると、Worlds Apart #Open Your Mind というこのキャンペーンでは、1つの部屋に、正反対の意見を持つ人初対面の2人が集められます(例;地球温暖化を憂う人と、地球温暖化を認めない人)
2人は、お互いに、意見が違うことを知らされていません。そして、家具を一緒に作る、お互いを知るためのクイズのような質問に答え合う、といった指示が順次出され、徐々に打ち解けていきます。
会話が生まれ、弾み、お互いに厚意を持ち始めたところで、部屋のスクリーンに、自分とは違う、受け入れがたい意見を表明している相手の映像が流されます。事前に撮られていたものです。
そして、「これを観た上で、この部屋をこのまま離れるか、部屋に残って相手とビールを飲み交わしながら、会話を続けるか選んでください」という最後の指示が出されるのです。
2人はどうなるのでしょうか?結末は心を動かされるものです。是非、ご覧になってみてください。
無意識のジャッジを乗り越える意見が違うことを一度認識した後、相手との違いから学ぶことは難しいものです。
ジャッジしてしまうと、拒絶反応が先にたち、学びまでたどり着かないからです。
一方、ハイネケンの動画のように、相手にシンパシーを感じた後で、意見の違いが判明したとしても、多くの場合、拒絶反応は薄れるのです。
この動画では、ハイネケンは、2人の間にシンパシーが生まれるよう、共通のアクティビティを与えたり、お互いを知るきっかけを与えたりという工夫をしています。
これは、組織が、どんな手段を講じて、意見のダイバーシティを乗り越え、強みに変えていけるのか?を考えるヒントになりますね。
共通項を作り、相手と先につながりを感じるような工夫があっただけで、人は、学ぶ姿勢を取りやすくなるのです。
本来、意見や立場が違う相手から学べることは、そうでない相手からよりも多いものです。必ずしも、影響されて意見や立場を変えなくともよく、相手の意見を注意深く吟味し、知ることで、視点を変えて同じものを観ることができるのです。
日本企業が気づかないダイバーシティ
日本の企業の皆さんから相談を頂く中で、「社内にダイバーシティはない」「女性や外国人を採用してダイバーシティを取り入れたい」といったことをおっしゃられることが非常に多いと感じています。
しかし、本当にそうでしょうか?
属性や育ち方が違うことで、意見や視点の形成が異なることは一般的ですが、一見同じ「日本人」でも、意見のダイバーシティは本来あまた存在しています。
「違いがないはずだ」と思い込むことで同調圧力が働くことも、意見の違いが一番難しいダイバーシティである原因の1つと言えるでしょう。
まずは社内の違いを、前向きに見つけ出すことから取り組むと良いのかもしれません。
DLAでは、異なる意見を学びに変える 言うはやすし行うは難しの方法論を提供しています。
B.K
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