【伸び代を見定める–82歳の「hinadan」開発者に学ぶ】
【伸び代を見定める】
Appleが開催しているWWDC(Worldwide Developers Conference)2017(
6月5日〜9日)の基調講演において、CEOティム・クック氏より日本人の82歳現役プログラマーが紹介され、注目を浴びていることはご存知の読者も多いことでしょう。
今日は、この開発者である若宮正子さんから、能力の伸び代について学んでみたいと思います。
WWDCでのことは多くの記事で紹介されていますので、ご興味のある方は以下のサイトなどを参考にされて下さい。
http://toyokeizai.net/articles/-/174799
https://www.buzzfeed.com/jp/yuikashima/wwdc-masako-wakamiya?utm_term=.qsVKrzQnx#.vfWgwpKDW
http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/pickup/15/1003590/060400964/
https://singjupost.com/apple-ceo-tim-cook-keynote-at-wwdc-2017-full-transcript/
【成長余力の本質】
若宮さんは80歳を超えてから、プログラム開発を始められ今年の2月に「Hinadan」を発表されました。開発の理由を問われ、若宮さんは「現在のゲームは若い人向けのものばかり、シニアも楽しめ若い人に勝てるゲームを開発したかった」と述べられています。
若宮さんの素晴らしい経験から私たちが学べることは非常に多く、少し掘り下げてみましょう。
最近DLAで、人と組織(チーム)の成長余力(伸び代)を診断するツール‘4Dスキャナー(仮称)’を開発しました。その4Dスキャナーで、恐縮ながら、若宮さんを簡易的に診断してみたところ、大きな伸び代があり、驚くことに、まだ発展途上であることがわかりました。
スキャナーで捉えられた特徴のうち3つをご紹介します。
- 目的が明確である(=シニアが使いやすく楽しめるゲームを開発したい)
- ユーザーのニーズ(=若者に勝てる)を明確に捉えている
- 好奇心が旺盛で失敗を楽しんでいる
伸び代とは、新しいことにどの程度真剣に挑戦できるか?ある種の“若さ”が鍵になります。82歳の今でも十分な若さをもっておられるのは驚くばかりです。
(なお、このスキャナー診断はマトリクス状の診断で人の伸び代を総合的に捉えることができ、個人だけではなくチームの能力分布、人材タイプのマッチ度合いなども診断が可能で、その観点で他にも何点か、若宮さんの輝きの理由を捉えています!ご興味のある方、お問い合わせください)
【成長を促進する主な要素】
伸び代を促進する主な要因は何か?
幾つかポイントはありますが、最も大きく顕著な要素は自分の常識を壊せるか?すなわち、「新しいもの」、「未知のもの」、「自分と違うもの」をどのくらい柔軟に受け容れられるか?特に、長年慣れ親しんだ仕事、ルール、ツール、技術などを一度忘れ、真っさらな気持ちで異なるものに触れ、使い、対応できる能力があるか?です。
更に、そこで得たものと、既知のものをどう結べるか?
若宮さんは、会社を定年まで勤め上げた後、還暦をすぎてからPCと出会い、その後、ユーザーとして使うだけではなく、80歳を超えてから自ら開発することに挑戦し、やり遂げました。
【新たな自分との出会いを楽しむ】
私たちが真に学ぶべき事は何か?を改めて自戒の念も込めて考えて見ると、新しい自分とどれだけ出会えたか?ということに尽きるのではないでしょうか?
去年の自分と今の自分を見比べて、あなたは、この1年でどのくらい新しい自分に会えましたか?
5年前の自分と6年前の自分を比べ、出会えた新しい自分は、今とどちらが多いですか?
更に10年前、20年前と比べてみましょう。
今の自分が出会えた数が最も少なかったとしたら、成長が鈍化しているのではないか?と疑ってみることも必要です。
そんなことが、若宮さんのように楽しめる自分でいたいですね。
人間は常に変化する生き物だと思います。伸び代を拡げるも、狭めるも今の自分次第なのでしょうね。
シニアだけの問題ではなく、外国人、障害者、LGBTの方などのマイノリティを、更には今本来の力を発揮できていない人材を、単にこれまでの評価軸で評価するだけではなく、これから益々求められる伸び代や、今とは違う視点でみることで、多様な能力、視点、経験、考え方などを最大限に活かし、眠っている組織の力を最大化する方法を確立してはいかがでしょうか。
若宮さんの素晴らしいご経験に敬意を表するとともに、多くの学びをいただけたことに感謝したいと思います。
成長余力の診断にご興味のある方は、お問い合わせください。
金杉リチャード康弘
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「適材適所」と「職場での相性」について考える
最近読んだ、ある、脱サラして起業した人のブログ記事に、「サラリーマン時代に、部署異動しただけで、周囲からの自分への評価が180度変わった」というくだりがありました。
同様の経験を仕事上したことのある方は、かなり多いのではないでしょうか。
私も、数年前に所属していた職場で、ある部署から別の部署へ異動した際、
それまで「営業としてトライアルが少ない」と上司からお叱りを受けていた腰の重さを、
新しい上司からは「熟慮を重ねて質の高い提案をする」と評価され、驚いた経験があります。
私自身は、仕事のやり方を全く変えていないにも関わらず、です。
どんな職場でも評価され、最大のパフォーマンスを出す人、というものは、残念ながら存在しません。ある場所で有能な人間が、別の場所では無能ということ、そして、その逆は往々にしてあります。
そのような際に取りざたされる概念が「適材適所」です。
【「適材適所」の偏った解釈】
「適材適所」は、元はと言えば建築用語で、木材を適した場所に配置することが発祥のようです。つまり、木材の硬さや木目を見て、建築物のどこに配置するのかを決めるということです。(余談ですが、熟練の大工は木材の微妙な癖や特徴から、将来の「反り具合」まで予測して配置するそうです。未来の可能性まで検討に入れるのはさすがですね)
木材における硬度や木目ではないですが、人材の配置も、スキルや実績といった、表出した特徴によって「適所かどうか」を決められることが多くあります。
しかし、それだけでうまくいくでしょうか。
スキルや実績が申し分なくフィットした職務なのに、期待されたパフォーマンスが十分出せない、ということは珍しくありません。
理由の1つが、仕事は1人で行うものではないから、ということは明らかです。
厚生労働省の有名な調査によれば、仕事や職場にストレスを感じていると回答した60.9%の回答者のうち、41.3%の人が、ストレスの原因が人間関係であると回答しているのです。(厚生労働省 H24 労働者健康状態調査 結果の概要 *pdfファイル)
【相性がいい?悪い?】
人間関係についてよく言われるのが「相性の良さ」です。
職場においても、なんとなくウマが合う相手、気の進まない相手がいるというのは、ごく普通のことでしょう。
プライベートと違って、”相性が良くない”相手とも付き合わなければならないのが職場です。
そこで、その「相性」についても少し考えてみたいと思います。
「相性が良い」「悪い」というのはどんな状態なのでしょうか。
「相性が良い」と感じるときは、自分から沢山のアイデアが湧いてくるように感じたり、ディスカッションが活発になり、会議の結論がサクッとまとまったり、効率よく仕事が終わるように感じたりします。
一方で、「相性が悪い」相手とは、会話がかみ合わず平行線になったり、何も思いつかなくなったり、いつまでも仕事が終わらないように感じるでしょう。
そんな時、「この人とはうまくいかないのだなあ」と感じ、途方にくれるのが人情です。
しかし、それで良いでしょうか?
会話がかみ合わない相手とは、視点が異なる可能性があります。
何も思いつかないとき、脳は必死に考え、答えを出そうとしています。
「相性の良し悪し」を超え、人同士の組み合わせとしてみた時、その相手は、今の自分にない視点を与え、伸び代を引き出す負荷を与えてくれている存在なのかもしれないのです。
【ペアリングの妙による人材マネジメント】
このように、人間同士というのは、ペアリング、マッチングによって、お互いに引き出されるものがあります。AさんのBさんへの評価と、CさんのBさんへの評価が異なるのは、AさんとCさんの評価尺度が違うからということもありますが、実際にBさんがAさんといるときとCさんといるときで違う面を引き出され、違う人間のように見えるということもあるのです。皆さんもきっと、ご経験のことでしょう。
この時、「あの人は、自分に接している時と、別の人に接している時に、全く違う人のようだ」とか「自分は、Aさんといると頭が良く回るが、Bさんとだとかみ合わない」という風に、自分か相手のどちらか片方が変化しているように見がちなことがあります。
しかし、実際は、人の組み合わせは相互作用であり、相手からも自分からも引き出されているものがあり、引き出されあったものによってパフォーマンスが変わるのです。
管理者、マネジメントとしてこのことを考える際には、もちろん、パフォーマンスが高いチームを作るために、いくつか気にしておきたいポイントがあります。
(1)良いものが引き出され合う組み合わせでチームを組む
(2)(1)の目的のために、個々のメンバーの武器・特性を正確に把握しておく
(3)(2)の際に、メンバー個人の個性として見えているものだけがその人の全てではなく、将来の可能性や組み合わせで表出するものが重要だと認識しておく
良いものが引き出され合う組み合わせを実現するメンバーの個性把握の方法、組み合わせの特徴の見方の具体的な方法については、ぜひ、お問い合わせください!
B.K
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眠っている才能を目覚めさせる〜労働人口減少に打ち勝つ
<労働人口減少に打ち勝つためには>
我が国が避けて通れない労働人口減少問題ですが、これを自身の喫緊の課題として認識している企業は少ないように感じます。まだ先のことというイメージが強いためなのかも知れません。
しかし、現実には確実に迫っている危機であることに、疑う余地はありません。
では如何にして克服すれば良いか?
少ない人口でも“同様以上の効果を「創出」”するための筆者の提言は、「眠っている才能を目覚めさせる」こと。
今回このテーマを考えてみたいと思います。
<人材マネジメントを抜本的に見直す>
今後加速する社会変化に
「多様な労働人材の増加」
AIの進化に伴う「人間から機械へのシフト」(=少ない人口でも対応できる)
があげられますが、前者については、多様な人材で如何にして成果をあげるか?が課題となり、後者では、職を失う人口がかなり増えることが課題です。
今回のテーマである「眠っている才能を目覚めさせる」ことは、上記どちらにも有効で、且つ、マネジメントする側の意識を変えることで、これまで光が当たらなかった人材の眠れる才能が、大きな可能性を秘めた現実策にできるのです。
しかし、眠れる才能がこれまで活躍できていないのには、それなりの理由が存在します。その大きな問題は、従来型の人材マネジメントによる人材の画一化、すなわち偏った人材の見方に起因する部分が大きいと言えるでしょう。4番打者だけでは野球にならないとも言います。
眠れる才能を開放するためには、人材マネジメントを抜本的に見直す時期に差し掛かったということです。
<才能が眠る理由とは>
才能が眠ってしまう理由は大きく2つ存在します。・・・
まず1つ目は自分で諦めるーこれまでの人生経験の中で、評価されないことに慣れてしまい自ら挑戦しなくなったり、自分の能力を低く見積もって出来ると思わないケースなどがそれです。
2つ目は気がつかないーこれは自他の両面あり、そもそも機会がなく、試した経験がない、あるいは機会が与えられない、他者から能力を過小評価や、過去の経験に引っ張られ誤って認識されているケースです。
<人材マネジメント改革3つのヒント>
では、どのようなアプローチが必要か?そのヒントの概要を3つ記載したいと思います。
- 「旬」を見極める
多くの企業・組織で、従来型の人材マネジメントが優先されるのは、過去に効力を発揮した、他社が行なっている、大きく間違わない、など、消極的な理由が殆どです。しかし、このやり方では、今自社のビジネスに本当に必要な能力は何か?を見極められていない可能性が高いのです。
食べ物でも、季節毎に旬があり、旬でない食材を使っても美味しさは最盛期には及びません。人材においても、ビジネスのステージや性質により、活躍する人材は変化します。一方、食材と異なり、人間には本質的な意味での期限切れはありません。時代に合わなくなった能力は、新たな能力を吸収し鍛えることで再生すれば良いのです。
したがって、今、どの能力が旬なのか?を見極めることが重要です。方法については是非、お問い合わせください。
- スペックより意味ある経験(戦略的多様性キャリア)
株式時価総額世界ランキング1位のApple(2017年4月現在)の製品は、100位にもランキングされない日本メーカー各社の製品よりも技術が優っていたのでしょうか?答えはNOですね。人材も同じくスペック(偏差値やこれまで優秀と思われたある種の能力)で決まるのではなく、成長するための意味ある経験が重要です。
意味のある経験を目的を持って積み、乗り越えることで、予想外の成長をします。以前勤めていた人材が退職し、数年経って戻ってきたら、素晴らしい人材になっていたということ(カムバックサーモンと呼ばれます)は最近よく耳にします。
テクノロジーの進化速度が著しい昨今、人材が成長するためのキャリアプランを視野を広げ、戦略的に思考すべき時代なのです(戦略的多様性キャリア)。
- 目的思考型のチームによる活動 ※(Objective Driven Team)
最後が、前号にも記載されました、目的思考型チームの活動ですが、これも「言うは易く行うは難し」で、いくつかの重要なポイントがあります。ご興味のある向きは是非、お問い合わせください。
<能力を眠らせない>
これまでいくつか述べてきましたが、筆者は仕事柄多くの企業に伺います。そこでよく見る光景は、愚痴を言い、疲れ切った顔で働く若手や、中堅幹部の姿です。本来最も活気にあふれビジネスをリードする期待された層の皆さんです。
もし、この人たちが活気にあふれ意欲的に仕事していたら?
本当は実力があるにも関わらず、仕組上評価されず要職につけない人が、本来の能力を発揮できる状況であったら?
良いアイディアを持っているのに、社内環境の故に挑戦できないでいる人材がチャレンジできたら?
才能が眠ってしまうのは、多くは会社、マネジメントの問題です。何万、何十万という、眠っている才能を思い切り活用すれば、想像以上の成果になるはずです。DLAと一緒に眠っている才能を目覚めさせませんか?
金杉リチャード康弘
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