「AI時代に勝つ人の頭の使い方〜戦略ポジション編」
【強みが足枷になる時代の到来】
筆者のコーナーでAI時代に勝つ人の頭の使い方と題して前後編でご紹介して参ります。
前編は、企業がとるべき戦略ポジションについて考えます。
本ブログで何度か触れさせていただきましたが、テクノロジーの進化により、ビジネスのライフサイクルが短くなり、国という概念が更に希薄になり、多様な人材が溢れる時代が既に到来し始めている昨今、これまでの成功パターンが足枷になるケースが増え始めています。
自社独自の技術力には、固執すれば陳腐化するリスクがあります。
自前で全ての製品・サービス開発にこだわれば、個別最適が起こり、スピード競争に追いつけないリスクがあります。
大きな組織はそれだけで、維持のために収益率が低減するリスクがあります。
これまでは強さとして捉えられた要素が、ややもすれば重荷となる場合が起こっているのです。
環境変化が激しい時代において強みを考える場合、これまで以上に「強みの意味」を問うことが必要です。
その強みはいつまで保つか? 何に対しての強みか? どの程度強いのか?
時間軸や比較対象、程度を明確にして、改めて捉え直し検証する必要があります。
周りがあまりに早く進化していくため、自社が気づかないうちに、強さの役割を終えているかもしれないのです。
他者により、代替する新たな強さが登場した場合、自社の強みを更に強化するか、新しいコンセプトに活かすか、別の強さを身に着けるかの選択をしなくてはなりません。
そのタイミングと方向の見極めを間違うと、強みが足枷になる時代なのです。
【戦略ポジションを見極める】
テクノロジーが加速する時代における差別化、価値の出し方とはどのようなものなのでしょうか?
ヒントは、ポジショニングを厳しく見極めること、ファンマーケティングを徹底させることです。
まず、これまでとは次元の違う厳密さで、自社が取る戦略的な立ち位置を見極め続けねばなりません。
例えば、東京オリンピックを当て込んで民泊ビジネスを展開することを考えてみましょう。
立ち上げ当初は利便性の良い場所に、居心地の良い部屋をできるだけ多く確保し、競争力のあるプライスを決め、WEBなどで魅力的なマーケティングを強化するという流れで、優位なポジションを確立できたとしましょう。即ち強みを持てた状態です。
しかし、ある程度の規模になってくれば、維持するためのコストがかかり、オペレーションが煩雑になり、模倣する競合による価格競争や、更なる好立地なライバルが出現することも考えられます。
自社の強みは相対的に低下し、強みの維持は時間の経過とともに難易度が上がります。
ここで、自社のポジショニングの見方を変えてみます。
「旅行者に最高な旅の経験を提供するビジネス」と捉えたら、民泊からスタートしても、強みの磨き方は、最高な旅を演出するための移動手段、食事、出会い、経験、ふれあいなどをいかにして演出するか?という観点になります。提携するパートナーなどの選定がポイントになり、進化させる領域は前者とは異なるビジネスモデルになるのです。
【ポジション見極め(=「輪」の拡げ方)の3つのポイント】
1社の思考だけでは変化の中で勝ち残れない時代です。合従連衡が益々進むことは避けられませんが、その時に重要なのは、「この会社と組みたい」と思わせられるか?です。
何を極めるか?どこで勝つか?そして、そのビジネスの成功をいち早く達成するためには、何を繋ぐか?誰と組むか?
いかにして自社のファンを増やすか?いかにしてそのファンが、潜在ファンを引き上げてくれるか? のステージアップを考慮した立ち位置を見極めることが重要になってきます。
過去にあったデータや、これまでの経験をそのまま活用するのではなく、その内容から何を描き出すか?の構想力が重要になるでしょう。
自社だけで物を考えたり、自社やこれまでの経験だけを見たり、自社だけの利益を追求するのではなく、その「輪」をいかにして拡げられるか?が人としての腕・頭脳の見せ所です。
今顕在化していない「輪」の拡げ方の3つのヒントについてご提案します。
1構想を描く:先にも述べましたが、既成概念にとらわれないデザイン力
2人をつなぐ:どんな人材、ネットワーク、コミュニティ、場を繋げるか
3自分をクビにする:これまでの自身の役割を手放し、新たな役割を任ずる
3つのヒントは、次回、求められる人材編で詳しくご紹介します。
AI時代に勝つ人の頭の使い方にご興味がある方は、ぜひお問い合わせください。
次のこのシリーズは、タレントマネジメント編です。
金杉リチャード康弘
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