新時代に必要な11人の戦士 ~勝利を支える2人の影の立役者〜
【勝利を支える2人の影の立役者】
ここまでのシリーズで、リーダー、プランニング、エグゼキュ―ションという3つの機能・9つの人材タイプについてご紹介しました。
これまで、人材タイプ定義の多くは括り方や考え方に差こそあれ、ご紹介した3機能にフォーカスしたものが多かった気がします。
しかしながら、実際の事業現場においては、これだけでは足りないケースが増えてきています。
パフォーマンスを上げる/下げない「ソフト・ハード両面での環境構築」や、チャレンジの難易度と新規性の高まりによりほぼ確実におこる「トラブル」への対応が成果創出に必要不可欠となっています。
今号では、万全に成果を創出するために必要な2つの縁の下の力持ち的人材タイプ
「ステージデザイナー」「ファイヤーファイター」についてご紹介いたします。
<成果を上げる舞台を整える影の立役者「ステージデザイナー」>
チームがパフォーマンスを発揮できる舞台を整える人材タイプです。
プロジェクトルームの設置や執務環境といったハード面の整備から、働き方への意識や他者への関係の仕方など、様々なチーム内の状況を理解したソフト面の整備、さらには取り組みに付随して発生する事務的作業のサポートまで、チームが活躍するためのあらゆる環境整備に取り組むのがステージデザイナーです。
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を設置する大規模なPJ(プロジェクト)には特に求められる人材タイプで、
行動特性は以下のようなものがあげられます。
・成果を上げるための環境要因を理解し、そのために必要な要素を洗い出すことが好き/得意
・より高い動機付けを行うための制度や、チームの運営効率、全体としてのモチベーションを維持するために必要なルールの整備を進んで行う
・それぞれの働き方や志向性をどのようにして理解・受け止めるか、チームとしての一体感をどう作り出すか、チームのROI(投資利益率)をいかに高めるか、といった実務レベルとはいえ全体感をもった検討を行う
・有効性・経済性の観点からロジカルに優先順位付けを行う
・世話焼きで、仕事そのものよりも身の上相談や人間関係へのアドバイスが好き。うまく懐に入る
<緊急事態にチームを救う「ファイヤーファイター」>
要件や期待値の未充足によるクライアントとのトラブルや、突如として見舞われる市場障害など、チャレンジの難易度や新規性が高まれば高まるほど重大なトラブルも発生します。
このようなトラブルは、もはや必ず起きるものであり、いかに対処できるかが重要であり、チームの混乱を鎮め、対応を推進する人材タイプです。
逆境・困難な状況でもあきらめることなく、挽回できるアクションを想像し、行動できる、いざというときにチームにとって頼りになる人材がファイヤーファイターです。
行動特性は以下のようなものがあげられます。
・ストレス耐性が強く、逆境や困難な状況下でも自分を維持できる鈍感さを持つ
・前向きで何事からも逃げない
・顧客とのトラブルがあっても、動じることなく淡々と解決策をすすめる
・責任論ではなく、事象に目を向け、感情的側面までケアした、広い視野をもった解決策を考える
・彼/彼女がいるだけで、なんだか安心する
派手さはなかったり、活躍の場が限定されるが、いるといないとでは大違いのこのプラットフォーム機能を担う2つの人材タイプ。
多くのケースにおいて、別の人材タイプをもったメンバーがこれらのプラットフォーム機能をもっている傾向が強いです。
意識しないとその特性に気づけないこともあるこの人材タイプ、しっかり意識してチームに取り込んでいくことが重要です。
これで4つの機能・11の人材タイプの全てをご説明いたしました。
組織力を強化するためにはスキル起点で組織作りを行うことが重要と申し上げました。
誰がどの人材タイプか?という1対1対応ではなく、この人材タイプを持っているのは誰か?、彼/彼女はどの人材タイプをカバーしているのか?、チームとしてどの機能が充足できているのか?、という観点でチームのメンバーを見ることが必要です。
また、この人材タイプは固定的なものではなく、チームのおかれた状況によって、必要性の強弱、さらには人材タイプ間の関係性・距離感の近さなど、実際の運用では一ひねりする必要があります(読者の皆様であれば、教科書的に人材タイプを使うほど単純な世界は終わっているということは理解いただけると思います)。
次号では、このDLAの人材タイプ「新時代に必要な11人の戦士」の最終号として、実際の使い方について、その概要・例示にはなりますがご説明をさせていただきます。
すでに多くの企業様よりご相談をいただいておりますが、自社の人材タイプへの適応(定義・行動特性への自社目線の盛り込み)、組織・PJでの活用方法など、本人材タイプのご活用にご興味のある企業様、また活用をご検討されるコンサルティングファーム様がいらっしゃいましたら、ご遠慮なくご相談ください。