HR-Techはリーダーシップ育成にも貢献するか?
テクノロジーが支える人事の進化
「HR-Tech」(リンク先外部サイト)、人事領域に少しでも触れる方であれば、少なくとも聞いたことはある言葉ではないでしょうか。
簡単に言えば、最新のテクノロジーを活用し、人事業務の高度化・効率化を過去にないレベルで実現しようという取り組みのことです。
数年前から、給与計算など、所謂オペレーション業務の効率化では、ロボティクス・AIといったテクノロジーの活用が進んでいました。
それが、ここにきて採用や配置といった人事のコア業務である、人材マネジメント分野でも活用され始めた形です。
この人材マネジメントは、ご存知の通り「人が人を評価する」ことがベースとなって行われてきたものです。
そのため、先のメルマガでも触れた無意識の偏見(unconscious bias)がどうしても働きがちでした。
ここに、テクノロジーの活用を入れ込むことで、見落としていた評価情報の把握、採用や配置基準との実証的マッチングが可能となり、人材マネジメントの高度化が期待できるというわけです。
インプットの高質化によるリーダーシップ・クオリティの向上
では、このテクノロジーの人事への活用は、リーダーシップにどう影響するでしょうか?
結論からいえば、リーダーシップのあり様には影響しないでしょう。
一方で、そのアウトプットには明確、かつポジティブな影響が期待できます。
つまり、テクノロジーの活用により、
・事業推進力を構成するメンバーの多様性の発掘、強みがリアルにわかる
・それら多様性=強みを総合化した、強いチーム編成がリアルにできる
・有効なコミュニケーションをとるための個人別のポイントがリアルにわかる
・正しく自省でき、自己育成すべき要素がリアルにわかる
ようになり、より的確にリーダーシップが発揮でき、かつ自身のリーダーシップを高めることができるのです。
なお、ここでいう“リアル”とは、即時性と事実性の2つの意味を持ちます。
テクノロジー活用を妨げる壁
しかし、このHR-Techの浸透のためには、越えなければいけない壁が2つ存在します。
それは、
機械に評価されることを恐れる“従業員の壁”
機械が評価した結果を受け入れられない“人事の壁”
の従業員の壁は、筆者がサポートするクライアントにおいて、なぜそう感じるのかをヒアリング調査してみたところ、
要するに「人が評価をする場合には、思いやりのようなものが働くが、それがない」という極めて漠然とした“お化け、怖い”的なもののようででした。
これは、コミュニケーションで払拭できるものでもあり、正直、あまり気にしなくても大丈夫そうに思われます。
一方で、厄介なのは2.の人事の壁です。
「人は人しか評価できない」「正しいと証明できないデータを人事に使うとはあり得ない」
といった感じで、HR-Techの受入れを拒絶している、どうせ使い物にならないと思っている人事部は決して少なくないのではないでしょうか?(もちろん、この“エビデンスベースト人事”は有益であり、前向きに取組んでいる人事部の皆さんも多くいらっしゃいますね)
リーダーシップ開発の将来
機械が判断した結果(データ)のみで人事を行うわけではなく、人事の経験と勘にデータによって実証された要素を付け加えることで、精度の高い判断とアウトプットを実現するという認識に切り替えることが、今現在 人事部に求められているように思われます。
特に、現状、決して歩留まりのよくない次世代リーダーの育成においては、非常に有効であるといえるでしょう。
・当社のリーダーが備えるべき要件とは何か?
・そのポテンシャルを持っている人材はとはどのような人か?
・それぞれスタート地点が異なる状況下で、どのようなキャリアを積ませていくことが、望むリーダーに育ってくれる可能性が高いのか?
こういった事項を、HR-Techを活用してしっかりつかむ科学的なリーダーシップ開発が、リーダー開発のROIを劇的に改善すると期待できます。
DLAは、テクノロジーを活かした、人材マネジメント、リーダーシップ開発にも取り組んでおります。HR-Techを活用した人事にご興味のある方、是非、お気軽にお問い合わせください。
T.Y