ダイバースリーダーシップ推進協会 ブログ

ダイバーシティと多様性を強みに変える組織作りコンサルティング 育成のプロ集団、ダイバースリーダーシップ推進協会のブログです。

要素分解と再構築という視点を身に着ける

f:id:diverseleadership:20170906172540j:plain

要素分解と再構築で物事を理解するとシンプルに考えられる

 

私は、プログラミング教育を通じて、子供たちに要素分解と再構築のスキルを身に着けてほしいと考えています。

 

プログラミングは、一つ一つの単純なコマンドが複合的に合わさって複雑なプログラムとなりますから、単純なコマンドを理解し、目的に応じて組み合わせる事が基本的な作業となります。

 

このことは、様々なシーンでみられることです。

 

例えば、料理。

カレーライスを作る場合は、具・ルー・米などの食材のほか、鍋・油・水などさまざまな道具も必要です。

まずこれらを用意するところから料理は始まり、手順にしたがって使うモノを組み合わせていきます。

 

会議などでも同じです。

人数・場所・時間などのほか、目的・現状と課題・上がっている解決案などが必要であり、それらを会議を通して、整理整頓し、点と点を組み合わせるような再構築から決定へと至ります。

 

たいていの場合、「分からない事」が前に進むためのブレーキになっていると思いますが、出来るだけ要素分解して要素に分けてみると、分かることがいくつかあったり、要素を整理整頓する事で、すっきりと見やすくなってすっきりした感覚になれます。

 

分からないからと、止まったままでいるのではなく、要素分解してみるといいでしょう。



要素分解の考え方を大学生に活用した実際のケース

 

先日、大学生に我々が行っているプログラミングイベントのレポートを書かせてみた時の事です。

 

1時間で1,000文字程度書くように指示したところ、学生は「レポートが苦手」という意識からなかなか手を付けられないでいました。

 

30分ほどして進行具合を聞いてみたところ、なんと100文字もかけていないではありませんか。

 

そこで、要素分解と再構築の考え方を伝える事にしました。

イベントにもさまざまな要素があり、それらが組み合わさって出来ています。

 

時間・場所・子供の数・スタッフの数・使用した資料・授業内容・実施の目的などです。

その他、準備や学生が参加した理由などのバックグラウンドと、それぞれのシーンで自分がどう感じたかなども要素として加わってきます。

 

これら項目に従って、書き出させるとスラスラ出てきます。

それから、「実施した日の流れ」を中心に再構築してもらうと、20分程度で1,000文字に達しました。

「1,000文字に達したので、まとめにはいっていいよ」と伝えても、「まだ書きたいことがある」といい、結局2,000文字くらいのレポートを書いてくれました。

 

レポートが苦手と言っていたのにです!

 

ここで分かるのは、レポートという大きな課題と向き合ったときに、苦手意識からアレルギーが出てしまった大学生。レポートをもっと細かな要素に分けて、一つ一つに取り組めば、課題が小さくなって取り組みやすくなった事例です。



要素分解と再構築のスキルを身に着けるには

 

「仕事」という大きなテーマ、「サービス」に区切ってみて「プロジェクト」に分け、「タスク」に落とし込むと取り組みやすくなります。

 

苦手意識も克服できる考え方だと思います。

 

では、どのようにすると要素分解と再構築を身に着けることができるのでしょうか。

 

要素分解は、観察する力が必要でこれには訓練が必要ですが、それに加えて、知識も必要です。いろいろな要素について知っておく必要があるのです。

 

そしてそれらは、小学校から学んでいる勉強に多く含まれていて、勉強の大切さをいまさらながらに考えさせられます。社会人になっても勉強を続ける事は大変有意義なことです。

 

再構築のスキルは、体験学習や物語に触れることが有効のように思います。

体験学習では、様々な取り組みに触れることができ、再構築の例を体現することが出来ます。

物語に触れる事も、自分が出来ない経験や考え方を知ることが出来、枠にとらわれない視点を養うことが出来ます。

 

なぜだろう、と何度も問いかける事もスキルアップに有効でしょう。

 

森洋介

 

当プログラムにご興味のある方はぜひこちらから

 

こちらの記事は、メルマガにて先行配信されます。

ぜひ、ご登録ください。

 

 

 

「本当にやりたいこと、見えていますか?」ー組織に眠る才能の発掘方法①

f:id:diverseleadership:20170822194810j:plain

【”本当にやりたいこと”が持つ力】

 

読者の皆さんにあえて伺います。
あなたにとって、ご自身が心の底から欲するやりたい仕事、取り組み、活動は、

どの程度明確でしょうか?

最近、DLAでは、人材の伸び代をいかに見極めるか?という課題に取り組んでいます。
幾つかのプロジェクトをご相談先の組織で行う中で、
上記の問いである、「本当にやりたいことが見えているか?」が非常に重要な判断基準の1つであることがわかってきています。

 

そこで、本コラムで、人材の伸び代の見極め方について、
「眠っている才能の発掘方法」と題して次回と合わせて2回に分けてお伝えして参ります。

 

まずは、このテーマについて示唆に富んだ研究があり、第一弾としてご紹介をします。

 

その研究は、沖縄県で実施されている子供向けのプログラミング教育をベースにしています。
この教育活動は、筆者の友人であり、DLAの外部パートナーでもある大森洋介さんが、長年取り組まれているものです。(少しだけ、筆者もサポートさせて頂いております)

 

ゲームをプログラミングするという体験を通じて、論理思考を学ぶというもので、元々は、沖縄県の子供たちに、より豊かな職業体験を積んでもらうために実施されてきました。
大学の研究者たちと組んで、活動の幅を広げられており、体験者が2,300名を超える非常に素晴らしいコンテンツに育ち、沖縄では今ちょっとしたブームになっています。詳しくは、当サイト をご覧ください。

 

このプログラミング体験で、非常に驚きの結果が出ました。
大学生と小学生に、同様にプログラミングの授業を行ったところ、よりよく習得できたのは小学生だったのです。

 

およそ2時間のプログラムで、小学生、大学生共に、100%プログラムを作れるようにはなるそうです。
が、その上で、習得したプログラミングを自ら応用できるかにも挑戦させると、小学生は、体験者の80%が達成したのに比べ、大学生は50%程度に止まったのです。

 

論理思考性のカリキュラムですから、本来大学生が有利だと思われる類のものですが、結果は真逆になったのです。

 

 

その理由として、大森さんの見解、及びDLAのこれまでの知見から、導き出された事があります。
それは、ズバリ、”活動を楽しんでいるか?”

 

「子供は楽しんで学ぶという”情動が動機”であるのに対し、大学生は義務感、勉学の一環、就活のためなど”理由付けの動機”が多く、楽しむという要素は小学生に比べ低いと感じます」
「それを裏付けるトピックとして、大学生にスタッフをしてもらい、小学生と一緒に作ってもらうことがあり、その時には思わぬ良作が生まれます。見ていると、素直に楽しんでいる小学生に大学生が巻き込まれて素直に楽しみだしているのです」というのは大森さんの言葉です。

 


【仕事で起こる負のサイクル】

この結果から、学べることは以下のようなサイクルでしょう。

 

楽しんで行う=やりたい事=自ら能動的に多くのエネルギーを投入する=結果・成果は自ずと良いものになる。

 

一方、反対のメカニズム(大学生のパターン)としては、

 

理由付けをする=楽しむ<義務感・責任感=エネルギーの投入量は相対的に低下する=結果・成果は上がりにくい。

 

これを、ご自身や周りの方の仕事に置き換えてみたらどうでしょうか?

目の前の仕事は純粋にやりたい事でしょうか?
100%そうでなくても、やりたい事は明確になっているでしょうか?

 

勿論、仕事というものは、やりたいことだけで成り立つものではありません。

しかし、脳の片隅で常に、やりたいことに向けて目の前の仕事をどう役立てられるか考えることはできます。

 

“やりたい事が明確で、そこに十分にエネルギーを投入できている” ポジティブなサイクルが発揮するパワーは、”想像以上の成果”を生む確率を高めます。

そして、脳と心に充足感も得られるため、習慣化されやすく、ますます良い成果に繋がりやすいのです。

 

その反対に、義務感のサイクルは、エネルギー投入量が上がりにくく、成果も上がりにくいのです。
更には度合いによっても異なりますが、やらされ感、やりたくないなどネガティブなサイクルになってしまうと、マイナスのパワーが発揮されることすら有り得ます。
そこで、ご自身でも部下など周りの方でも、やる気レベルを高め成果を気持ちよくあげられるようにするためには、義務感にならないように工夫する事が必要なのです。

 


【楽しむためのキーワード=安心感】

これについて、大森さんの活動から、大学生の動機が、なぜ情動ではなく理由付けの動機になってしまうのか、をヒントに考えてみましょう。
やはり、大きくは、プログラミングに向き合う際に、「面白そうだから」というよりも、「単位になるから」といった何らかの理屈が優先した可能性があるでしょう?

 

面白がるためには、心が素直な状態が必要です。
そして、素直になり、自分の気持ちに正直になるには勇気が必要です。
成長するにつれ、素直になることが難しい。

なぜでしょうか?

 

素直になるには、鎧を脱がなくてはなりません。

鎧を脱ぐには安心できる環境が必要です。

大人になるにつれ、組織などひとの集合体では、様々な思惑や組織の論理で、この環境づくりが難しいですね。かなり意識的に作らなければ、成し得ません。
だからこそ、組織の眠った才能を発掘するための第一ステップは、安心感を提供すること、心の鎧を脱いで素直になれる環境を整備することだと考えます。

 

みなさまの環境はどの程度整備されているとお感じですか?

 

次回は、環境整備の方法と、その環境下で眠った才能の発掘方法について考えてみたいと思います。

 


金杉リチャード康弘

こちらの記事は、メルマガにて先行配信されます。

ぜひ、ご登録ください。

 

論理的思考力の次は“前提力”を磨け!

<論理的思考力の次は“前提力”を磨け!>

論理的思考力の必要性は常識レベルで認識されており、業種・役職に関わらず早期に習得することが求められている。

そして、多くの方がその習得に取組み、十分とは言えなくても必要なレベルには達したのではないかと思う。

しかし、論理的思考力ばかりを磨き続けても、所謂“デキル社員”にはなれないのだ。

 

<十分ではなく“必要条件”としての論理的思考力>

筆者は、出来損ないのコンサルタントとして社会人初期を歩んだ。

先輩コンサルタントの報告書を読みあさり、考え方、文章の書き方、さらには話し方を一生懸命学んだ(というより盗んだ)。

そして、盗んだスキルを案件で活かし、顧客にも会社にも認められたい一心で取り組み、レビューに臨み、お客様へもわかりやすい説明を心掛けた。

しかし、なかなかうまくいかなかった。徹底的に論理的思考力・文章力・説明力を磨き、習得していったにもかかわらず、“並”のコンサルタントがせいぜいで、“デキル”コンサルタントにはなれかった。

 

<勝負を分けるのは、どう“前提”を置くか?>

 もがきながらのコンサルタント人生を歩むなかで、1人の上司(コンサルタント)に出会った。

その人は、私からみても、ロジックがそこまで強いわけでもなかった。

しかし、レビューでのフィードバックにおける「うわぁ!感(脳の外側の古くなった皮がはがれる感じ)」はもちろん、お客様からの信頼感は抜群であった。

いったいなぜそうなのか、しばらく私はわからず、もうしばらく“もがく”日々が続いた。

そんなある日のレビューでのことだった。この上司から「検討の前提を追加して」と一言フィードバックがあり、追加し再提出した。

真っ赤(当時は資料に直接赤ペンで修正指示を受けていた)になって帰ってきた。

そう、検討の前提が違っていたのだ。その時、私は気づいた。

この上司と私の差はココにあると。

 

<「目的」は「前提」にはならない>

 恥ずかしくてあまり言いたくないが、当時の私は、立ち止まって検討の「前提」を考えることはなかった。

課題からスーっとソリューションの検討に流れてしまっていた。

目的から課題を導出しているのだから、課題さえ分かれば、あとはロジックで解けるとでも思い込んでいたのだろう。

しかし、この目的を達成するために「どう考えるべきか」「どこから考えるべきか」これらをきちんと仕切っておかないと、ソリューションに深みも味わいも、“らしさ”もでてこない、通り一遍のものになりがちになる。

 

<前提は「視点の高さ」から「論理展開の方向性」まで全てを決める>

 課題が明確になったら、「この目的を実現するとは、どういうことを意味するのか?」、だとしたら「そもそもどこから検討を始めるべきか」、さらに「どういう方向で論理を展開させるべきか?」をしっかり検討して、コンセンサスをとっておかないと、検討の粒度も方向性もまるで狂ってしまい、価値のない提案になってしまう。

つまり、この前提のセットが、ソリューションの価値を決めるのである。

そして、優秀なコンサルタントは、これをさらっと、周りが気づかないほどエレガントに行ってしまうのである。

検討したことを気づかないレベルに自然に。これに気づかされた私は、必ずここを上司や部下と徹底的に議論をするようになり、視野・視座・視点の置き様、コントロールする術を磨いた。

そして、ついに(自分で言うのも何だが)“並”から脱出できた。

 

<“前提力”のつけ方>

ここまでくると、次は「では、どうしたらつけられるのか?」であろう。

方法は単純だが、習得は簡単ではない。常に意識して取り組み、上司からレビューをうける、そしてボコボコにされ続けるのである。

その繰り返しの中で、感覚として身に着けるのである(なので人によってかなり習得リードタイムに差が出る)。

この苦行(閾値としての学習量が)の先にしか、習得はないが、必ず習得はできる。

 

DLAが重視している多様性とは、まさにこの「前提」の置き方と検証のための学習量にある。検討プロセスにおいて、この“前提セット”プロセスを独立させ、それぞれの持つ意見をぶつけあってみてほしい。

結構、当たり前のことを言っているように思われるだろうが、意外と(私のように)やれていないケースは多い。

 

 DLAは、ダイバーシファイされたチームの中で、メンバーの叡智を結集させた「前提」を描き、そしてソリューションの策定・実行をできるリーダーの育成を支援しております。興味のある方、是非、お気軽にお問い合わせください

 

T.Y

 

こちらの記事は、メルマガにて先行配信されます。

ぜひ、ご登録ください。