ダイバースリーダーシップ推進協会 ブログ

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戦略人事を再考する ~戦略人事をバズワードで終わらせない~

 

前回のメルマガでは、自分を鼓舞するという意味も含め、「戦略人事」が未だ実現できていない現状について、私なりの見解を述べさせていただいた。今回は、「ではどうすればよいのか?」拙案ではあるが、3つのポイントをご紹介させていただく。

 

 

①戦略を正しく理解する(戦略人事の要件導出の徹底)

 

 “戦略人事”という概念が生まれた時から、その象徴的な取り組みとして、このタスクの必要性が説かれてきた。それは今でも変わることなく、説き続けられている。そのせいか、人事部の方の自社戦略理解度は高まってきている。

しかし、まだ足りない。解決の糸口はその理解の際の「視点の置きよう」にある。

 

戦略が「誰に」「どのような価値を」「どのように提供」しようとしているのかという戦略の理解から、各組織が保持すべきキーとなるケイパビリティのポートフォリオを、その理由と合せ言語化できるレベルまで明確化する。つまり、今の理解度でよしとせず、組織として人事としてどうあるべきかという切り口で踏み込んだ“解釈”を行う必要がある。

 

②体系的な人材マネジメントの仕組みをつくる

 

これは“戦略人事”の概念が出る前から言われ続けている人事の常識ともいわれる、必須のアクションである。①をきちんとやることで、自ずと人材マネジメントも戦略性を帯びてくる。しかし、それだけでは足りない。

 

非常に乱暴な言い方だが、戦略は外部環境分析に基づいて検討が進むため、外部適合性を担保した検討となる。一方、人材マネジメントの検討は、組織の中の状況に基づいて行われ、内部適合性の観点が強くなる。

この瞬間に、検討のベクトルが戦略と人事で真逆となり、人事における戦略性がトーンダウンしてしまう。

このトーンダウンを抑え、①と相まって戦略性を担保するためには、労働市場・競合の人事施策の分析等、人事的外部環境分析を行い、それに基づいた“外・内バランス”のとれた検討を行うことが求められる。

 

③戦略=仮説に基づく人事を人事機能が受け入れる

 

①は「踏み込んでやる」、②は「もっと外を見る」というわかりやすい話しであり、多くの方にとっては、そんなことはわかっている(けれど、やれていない/できていない)という反応であろう(なので、頑張ってやりましょう!)。

一番の問題は、この③、つまり人事部の“常識”にある。それは、どういうことか?

 

戦略は仮説であることは言うまでもない。それに基づいて設計される人材マネジメント、例えば評価基準も仮説になってしまう。この仮説に基づいて従業員を配置したり、評価し処遇を決定したりすることが受け入れられない人事機能は結構多い。

戦略人事=戦略を実現する人事である以上、仮説に基づく人事を人事機能が受け入れなければ、戦略人事は実現できない。この常識を人事機能が打ち破れるかは、かなり重要な要素である。

 

筆者は、人事コンサルタントとして多くの人事部の方とお仕事をさせていただいた。同時に、企業人事の責任者としての役割も担ってきた。そのような立場で、この10年を振り返り、戦略人事の実現度の低さに危機感と責任感を抱いている。

読者の方で、少しでも賛同いただける部分がある方がいらっしゃれば、それぞれの立場・役割で、戦略人事の実現に向け、改革の道を歩んでいただきたい。

 

もちろんであるが、DLAはこの戦略人事の実現を、できるまでお支えします。興味のある方、是非、お気軽にお問い合わせください。

 

T.Y

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