ダイバーシティの本質は「少数派の許容」ではない
ダイバーシティを語る際、忘れてならないことは、
「多様性とは、Symmetry(シンメトリー=異なるものどうしが等価)であること」を認識することです。
すなわち、多数派が少数派を許容するという発想ではなく、
個々の人々は全て同じ価値を持ち、それぞれが異なった個性を持っている、
その違いに興味を持ち、受け容れることを楽しむことで、
これまでには無い発想・考え方、物事の進め方、技術・知識を取り入れ、
組織力の総和を最大化することが重要です。
ややもすると、多数派の男性社会で少数派の女性を、日本人中心の企業で少数派の外国人を、
管理職に抜擢すること、あるいはその数を増やすことがダイバーシティだと決めてしまいがちです。
更に、その発想に少数派である異分子を許容するという観念が入ってしまっていては、
せっかく活躍の場を得ても、少数派である女性や外国人は十分にその能力を発揮することは難しいと言わざるを得ないでしょう。
今後、我が国の経済環境は大きく様変わりすることは、既に周知の事実です。
すなわち、少子高齢化で労働人口が激減すること、
反対に途上国を始め多くの国で人口は増大し、地球の人口は幾何級数的に増加するのとは正反対のトレンドになることは、
現段階では避けられない状況にあります。
このような環境下で、多様性は益々重要かつ喫緊の課題ですが、
「その準備がどの程度できているのか?」という問いに自問自答していただき、自信を持ってYesと回答できるでしょうか?
多数派が少数派を許容する方法は、
既存のルール、考え方が正しく、既存の主力メンバーが少数派に知識を伝承する、
言わば現在の延長線上の発展を目指すことには効果は期待できるかもしれませんが、
先の読めない非連続な環境下ではこれまでの延長では不確実性が極めて高く、成功確率は当然低減します。
故に多様化が注目されているのです。
では、非連続時代の多様化とは何か、
性別の多様化、国籍の多様化にとどまらず、世代間、部門間は言うに及ばず、
企業間、異業種間における異質・異能を受け容れ、
創造性を開花させる意識改革を推進して行くことが求められる世界観への準備が必要です。
その出発点は、Symmetry(シンメトリー=異なったものどうしが対価)であること、
すなわち多数派と少数派、主流と亜流という、固定観念を打破する発想を持つことだと思います。
みなさんの組織ではいかがでしょうか?
金杉リチャード康弘