新時代に必要な11人の戦士 ~勝利へ導く2人のリーダーとは?〜
【新時代に必要な11人の戦士】
今後加速が予想される、事業スピード・課題難易度の両方の高まりに対応できるだけの組織適応・対応力を持つには、人起点での静的な組織づくりから、スキル起点での動的な組織づくりに変わる必要がある。このような背景から、私達DLAは、人材活用・組織分析のマネジメントツールとして「11Type(イレブンタイプ)」を開発し、前号でその予告を告知させて頂きました。
今号から5連載で、その具体的な構成人材タイプの説明と活用方法(活用例)をご紹介して参ります
まず、前号からしばらく時間があいてしまい、申し訳ありません。大変有難いことに、多くの企業様から「具体的にどんなことに使えるのか?」といったお問い合わせ、コンサルタントの方々から「お客様に活用したい」といったお話をいただき、議論をさせていただくことができました。
その中で、多くの貴重な意見・ご指摘をいただけ、公開前からどうしてもUpdateしたく、お時間をいただいてしまいました。その罪滅ぼしというわけではありませんが、DLAの新しい人材タイプ「新時代に必要な11人の戦士」シリーズは週次で発信させていただきます。
<人材タイプ定義の前提:マネジメントを支える4つの機能>
人材タイプというものは、事業環境や戦略の変化に適応した組織をつくり、人材を育成する規範となる基準である以上、短サイクルで変わるものではいけません。そのため、今回DLAは、
・テクノロジーがビジネス・戦略を創造する要素が高まっており、競争優位のファクターが質からスピードに変わった(競争における先行者利得の拡大)
・経営・事業課題の難易度・複雑性が、優秀な個人による解決ではなく、チームの最大パワーによる対応を求めている
という、競争や企業運営の在り方を変えるレベルでの変化に基づいて、マネジメント各機能の今後のあり様をまず定義しました。その結果、私たちDLAは、これからのマネジメントの在り様として、以下の4つの機能が必要だと考えました。
・リーダー:方向性を示し、置かれた状況に最適なスキルセットを組織化し、アフターアクションレビューを通じて成果創出を主導する機能
・プランニング:観察と分析により精度の高い仮説を構築し、常識や習慣にとらわれない大胆な発想で、斬新なアイデア・シナリオを描きだす機能
・エグゼキューション:シナリオにそって、徹底的に顧客のニーズの本質・源泉を追求し、その実現に向けて関わる人全てを主役にしながら実際に結果をだす機能
・プラットフォーム:チームが成果創出に向け、安心かつ集中して取り組み続けられるソフト・ハード両面での環境・場づくりを行う機能
これらの機能定義ごとに必要な人材タイプを規定することで、一定の普遍性を持つ11の人材タイプを以下の通り導出いたしました。
今号では、リーダー機能を構成する「ディレクター」「ダイバースリーダー」について、ご紹介します。
<常に求め続けられるリーダー・オブ・ザ・リーダー「ディレクター」>
ビックピクチャを描き、チームが進むべき方向の明示とその実現のシナリオの骨格として取り組み全体のアーキテクト(体制含む)を構築し、最適化する/維持する。さらに、チームが機能するよう、内部外部のボトルネックを取り去るという人材タイプです。
この人材タイプは所謂リーダーとして普遍的に求め続けられているものですので、おおよそイメージがつくかと思います。
行動特性としては、以下のようなものがあげられます。
・率先してチームの進むべき方向性を考え、発信する
・チームが今後直面する事象やリスクを示唆し、いかに備えるかといった注意喚起を行う
・行動する際、物事を始めるに当たっては、必ず目的の明確化、確認、共有をしっかり行う。
・個別タスクよりもチーム全体の状況をまず考える。一方で、メンバー個別のコミュニケーション(支援指導・鼓舞)も重視する
・チームメンバーが判断に迷った際には、明示的/暗示的に意見を求められる/頼られる
<具体的に現場をリードする新しいリーダー「ダイバースリーダー」>
チームの現在/将来に必要な能力/異能を見極め、多様化された集団をまとめあげ、能力を引き出し、成長と最高のパフォーマンスを発揮させる人材タイプです。
競争が、「均質化された人材タイプとその量」で行われていた時代から、「個の強み・特性の組み合わせ」で行われるようになることで、新たに、そして強く求められる人材タイプです。
行動特性としては、以下のようなものがあげられます。
・セオリーや前例を重要な1要素として扱え、多角的な観点で必要性・有効性が検討・検証された、・良い意味で意外性・斬新さのある人材登用を提案する/行う
・決めつけや、偏見を持たず、メンバーの素の特性を良し悪しではなく、強弱で見極める、意外な一面によく気づく
・チームをスキルの足し算だけでなく、人間的相性も踏まえた掛け算で考える
・相手に考えさせ・行動を促すことでメンバーの強みや個性を引き出し・活かすコミュニケーションをとる(自分の考えと違っても、それを受け、ぎりぎりまで介入しない)
・メンバーそれぞれの強みや個性を意識し、それを伸ばす・より活かすにはという観点で指導・育成を行う
この2つのタイプのリーダーによって、チームが成功するための骨格が形成されます。特にダイバースリーダーは、今後強く求められるリーダー像になってくるとDLAは考えております。皆さんの周囲に、このようなタイプの人材はいらっしゃいますでしょうか?
次号では、プランニング機能を担う3つの人材タイプ「メンタリスト」「ストラテジスト」「マッチメーカー」についてご紹介いたします。
なお、DLAではダイバースリーダーを育てるご支援も行っております。ご興味ございましたら、是非お問い合わせください。
T.Y
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新時代に必要な11人の戦士〜人材活用・組織分析の新たな視点〜
【そもそも、なぜ多様性がここまで求められるのか?】
チーム力の強化や人材を見極める際、根拠や、確信を持ってアサインや実行プランができないなどでお困りになった事はないでしょうか?
昨今クライアント先で頂く課題として、優秀人材の採用や、配置転換が上手く行かない、重要案件のチームメンバー選定が苦戦する。と言った内容が急増しています。
加えて、現在の制度では評価も納得性が低下しているというお話も枚挙にいとまがないほどです。
では、今起こっている変化を推理・検証してみましょう。
・テクノロジーの進化・企業(グローバル)競争の激化による、成長ドライバーとしての事業スピードの位置づけの高まり(=適応力の重要性が増大)
・学校・企業・個人におけるビジネススキル・専門性開発意識の高まりによる個の力の向上と人材需給ギャップの存在(=個の力での勝負の限界)
・よって、組織力=Σ人(人起点)から、Σスキル(スキル起点)という競争ステージの変化が求められていること。
が原因を解く鍵になりそうです。
上記変化に伴い、新しい製品・サービスを連続して創出させる必要性が増し、加えて労働人口の減少に伴う、働き方改革の推進など人材多様化の加速などにより、組織・人事分野における既存の見方、運用に制度疲労が生じ初めた事が、原因ではないでしょうか?
【競争ステージの変化による人材マネジメントとは?】
人材的にも制度的にも多様性が求められることで、人材マネジメントはどのような対応が必要なのでしょうか?
人起点:スキルやコンピのリスト(静的・一律・固定・MECE)から
スキル起点:特徴的(必要な)スキルにもとづく必要な複数の偏った人材像(タイプ)へ(=1人が複数のタイプをもつこともあり、むしろ望ましい)
更には、目的(戦略)や環境(組織)に応じた上記の組み合わせ
上記を踏まえ、DLAではこれまでの多くの経験から、新たな人材活用・組織分析のマネジメントツールを開発しました。
【個・チーム・環境要因と11の人材タイプ】
今までの人材評価は学歴や、企業のコアビジネスの実績、即戦力となりそうな経験などの過去実績を中心に、比較的似通った能力や行動特性を持つ人材を目指すべき優秀人材像として定義してきましたし、これまではそれが上手く機能した成熟した環境だったと言えるでしょう。
しかし、これからは非連続で破壊的なイノベーションが必要な新たな環境で、均質性より際立った個性とそのミックスが不可欠な要素になって来るのです。
すなわち、様々な経験や能力を持った多様な人材の叡智の集積と、その叡智を遺憾無く発揮するための最適な環境が不可欠となります。
DLAでは、必要な能力・行動特性を11のタイプに分類し、それを3つの切り口に整理しました。
まず、切り口からですが、1つ目は「個」の見方です。
11タイプは、1人が1つのタイプに分類されるのではなく、1人の人材が複数の能力や特性を持つこともあり、それぞれの強さがどの程度か?を見る事で、どのような種類の業務に向くのか?どんな進化の可能性がありそうか?を洗い出します。
2つ目は「チーム」の能力分布です。
11タイプの分布と濃度を確認する事で、チームの強み・不足機能の状態やバランスを可視化します。つまり能力分布のマッピングです。
これにより、どんなビジネスに適応できるか?どんな機能を強化すべきか?を洗い出し、チームメンバーとして個がどのような役割を担うべきか?を確認します。
最後に3つ目はチームや個に影響を及ぼす「環境要因」です。
「個」や「チーム」が持っている能力がストックだとすると、活用されている状態はフローと言えるでしょう。
つまり、ストックだけを見ても十分ではなく、実際の運用においては、活用量、発揮度合いを見なくてはなりません。
しかし、ここで問題なのは、フローは一定ではなく、“水物”だと言う事です。
有機体である組織や人材は、常に様々な環境要因で変化します。
DLAでは、影響を及ぼす要因として“Objective=戦略や目的”と“組織=構造・文化・ルール”を選定しました。
それぞれどのような影響を及ぼし合っているか?によって、状態が変わる事がこれまでの数多くのプロジェクトで起こりました。
上記によって、個とチームの「旬」の度合いを可視化する事を目的としています。
11の人材タイプ
グループ1:ディレクター、ダイバースリーダーの2タイプ
グループ2:メンタリスト、ストラテジスト、マッチメーカーの3タイプ
グループ3:エグゼキューションデザイナー、ストーリーテラー、コンシェルジュ、パフォーマーの4タイプ
グループ4:ステージデザイナー、ファイヤーファイターの2タイプ
11の人材タイプについての考え方の概要、運用段階における影響要因等については次号以降でご紹介します。
ご興味のある方はぜひ、お問い合わせください。
金杉リチャード康弘
「事業と人を伸ばす本当の人事考課 ~1on1がもたらすパラダイムシフト~」
人も育ち、結果も出し続けているチームに共通する特徴はなんだろうか?「業績が成長しているのでチームの雰囲気が良い」「良い人材が集まっているので業績が伸びている」等、結果論的なものではなく、組織として、自らの力で安定的にそのような状態を作り出し・維持するための共通の特徴がそこに存在した。
それは、人事が常に目指し、チャレンジしてきた人事考課制度を事業のPDCAのツールとして埋め込み、人事考課で組織を成長させるという、 “組織成長の基本原理”を成立させる、制度運用の効率性・低負担化の中からはでてこなかった、
「当たり前の徹底」だった。
【人事考課は、そもそも「組織を成長させる要素を体系化したもの」だった】
組織や事業を成長させるために、目標と実行計画の策定・浸透、その進捗フォローと実行課題への対応が必要であることは言うまでもない。ただ、それだけでは足りない。
この、所謂、組織業績管理まででは、状態把握はできても、改善活動の推進力を生み出すことはできない。
そこで、マネージャー達は、この推進力を生み出すために、自ずと部下の活動管理を行い、課題改善、すなわち育成に取り組んできた。
この活動管理こそが人事考課そのものであり、故に「自ずと」取り組みの質・程度にマネージャー間で差がでていた。
それを標準化することでベースアップを図り、継続実施を支えるよう昇進や報酬といった処遇とも連動させ、モチベーションに作用するように体系化したのが人事制度である。
しかし、この成り立ちに反して、「活動管理」と「人事考課」の両者はそれぞれの道を歩いたままであり、人事考課は、いまだに、年2回ある面倒な事務作業となったままである。
【制度を回す“事務”に工数が割かれ、“信頼関係構築”が犠牲になった】
このような状況において、多くの企業でとられたアプローチは“人事考課制度の徹底運用”だった。
いかにマネージャーの活動管理を効果的に実行するかではなく、制度サイドからの改善と運用徹底のアプローチだった。つまり、誰もが頭ではわかっている制度の必要性を説き、同時に制度の運用負担を減らすことで、ルール通りに確実に制度を運用してもらおうという“少なくともこれだけはお願いアプローチ”である。
その甲斐もあり、制度実施率(手続きとしての取り組み完遂度)は高まった。しかし、従業員満足度調査などから出てくる回答は、いまだに「人事考課が機能していない」である。
やるべきことがルール通りやられているのに、機能していないのである。
実はこれは当然の帰結であり、考課の大前提である考課者と被考課者の信頼関係の構築が十分でないことが起因している。
制度改善の“これだけはお願いアプローチ”は、制度の枠組みの範囲内で効率性を追求するアプローチであり、いかにマネージャーの活動管理の効率性と有効性を高めるか?という本質課題へのアプローチではない。
人が人を評価するという絶対解のない世界において、もっとも重要な“上司と部下との信頼関係構築”を現場に任せたまま、制度のみの改善、個別最適を追求してしまったのである。
もちろん全てのチームがこのような状況であるわけでなく、組織も人材も成長し、人事考課もきちんと機能しているチームもある。
【「コミュニケーション」と「ログ」。これが、マネージャーと部下、お互いを高め合うツール】
その機能しているチームのマネージャーらに話を聞くと、決まって言うのは、
“「コミュニケーションを意識してとっている」という点である。
コミュニケーションをこまめにとることで、リアルタイムに現場の状況を把握でき、良いことも悪いこともその場で認識でき、褒めたり、解決したりできる。
また、部下の力がどの程度のレベルか、具体的につかめ、それが部下にも伝わる。
よって、この高頻度コミュニケーションの継続が、部下との信頼関係を構築し、報連相の心理的ハードルも下がるのだ“
と、これだけ聞くと、さぞかし忙しいのだろうとか、マネジメント業に専念しているのだろうなど思うかもしれないが、決してそんなことはない。
ミーティング前後の端切れ時間や、移動中、昼食や飲み会の席など、ちょっとした2人きり(1on1)の時間をうまくつかってコミュニケーションをとっているのである。
中には考課のフィードバック(FB)もわざわざ時間を取らず、上記のようにカジュアルに済ませてしまうケースもあった。
もちろん、その対話の中から、これは…と思った時には別途きちんとした場と時間をセットして対応するとのことだが、そこまでの話は滅多になく、上記の対話で大方はすんでしまうらしい。
同様に部下の方に聞くと、「いつでも相談やアドバイスがもらえるのでよい」「いつも話しているので、わざわざ評価のFBをもらわなくても、だいたい結果も課題もわかっている」とのことだった。
これまでの常識として、人事考課は大変だから少しでも時間をとらないようにとしてきた、考課情報の収集や、フィードバックのための理論武装などが、逆に部下とのまとまった面談時間の確保の難しさと面談の長時間化を招いていたのだ。
日頃の継続的なコミュニケーションが、実は負担を減らし、効果も高めるという、今までのアプローチとは真逆のアプローチこそが、本当は必要なものだったのだ。
【高頻度のカジュアル1on1で組織と人を伸ばす】
この1on1、やり方に若干の差こそあれ、すでに複数の企業で採用され始めている。
いずれのケースでも、導入当初は、その面談頻度の多さから抵抗があり拒絶されるケースもあった。
しかし、やり始め、慣れ始め、そして考課が一周するころにはその有効性と効率性を体感し、より有効に効率にできるよう現場での独自の改善プロセスが回りだすという(有効性を感じたときの現場の力とは本当にすごいものである)。
週1回、隔週で、月1は必ず・・・それぞれの現場で無理なく現実的なプロセスへと収斂され、生きた自分たちの1on1として運用が始まる。
これこそが人事が長年目指してきた、事業のPDCAと人事考課の一体化である。
さらには、言いっぱなしの一話完結型でなく、簡単にログを残して、「前回言っていたXXって、その後どうした?」、「前回アドバイスしたXX、やってみてどうだった?」
と継続的にフォローできるようにしたり、部下が異動した際の、簡にして用をなす引継ぎ資料として活用するといった工夫も講じられている。
この1on1、実は人事考課と部下のためだけでない。
このプロセスを通じ、マネージャーは様々な課題に直面することになる。それぞれ異なる部下の持ち込むそれぞれの課題に1つ1つ向き合って、解決していかなければならない。
これはマネージャー育成にとって最高の場であり、マネジメント力・人間力両面で鍛えられる、どんな研修よりも効果のある取り組みなのである。
人事考課に同様の課題を感じる読者の皆様も、是非1on1をとり入れてみてはいかがであろうか?
DLAは、ダイバーシファイされた組織の力を最大限に引き出し、個々の力を組織の成長へとつなげる人事考課制度の設計・運用サポートを行っております。ご興味がありましたお気軽にお問合せください。
T.Y