学び続ける才能の伸ばし方
学び続けるという才能
将棋の藤井6段が、年度4冠(対局数、勝数、勝率、連勝数)を史上最年少で達成することが決まった。
止まるところを知らない稀代の天才棋士は何故これほど強いのだろうか?
今日は、前号でご紹介させて頂いた、「リカレントエデュケーション(循環教育)」に向けたヒントの第一弾として、学び続ける才能について考えてみたいと思います。
目標を目的化しない意志を持つ
物事を進める上で大切なものの1つに「目標を定める」ことがあります。しかし、ややもすると、目標が目的化することがあります。
冒頭で触れた将棋の世界で棋士の中には、プロ昇格時(4段)が実力のピークになってしまう例も多くあるそうで、その先の目指す姿(目的)が明確でないケースなのかもしれません。
学び続けるために重要なことは、最終的にどうなりたいか?を見極めること(=目的の明確化)と、そのために当面達成すべきマイルストン(=目標)を定めることだと思います。それがないと、日々の努力は終わりのない苦行になってしまうかもしれないからです。
但し、目標がいつの間にか最終ゴールにならないように、常に当初の目的に立ち戻る意志が大切なのだと思います。
深さと幅の違いについて考える
また、学ぶ上で意識したいことが、「学びの深さ」と「学びの幅(広さ)」の違いを明確にすることだと思います。そして、その順序にも注意が必要です。
藤井6段の学び方は、プロ手前までは徹底して基礎の反復練習をしたそうで、巷間伝えられているようにAIソフトの申し子ではないようで、基礎力がある程度備わった後、応用編(AIソフト等の活用)に入ったため、進化のスピードが一気に加速したそうです(プレジデント2017年10月2日号より抜粋して引用)。
DLAの循環教育プログラムでも、「学びの深さと広さの違い」と「学ぶ順序」は意識的に使い分けをしており、深さが十分でないまま幅だけを広げることはしません。
ある程度の深さを学んだ上で、幅を広げる横展開をすることで、習得の速度は大きく異なります。(詳しくはお問い合わせください)
極める VS しがみ付き
しかし、「学びの深さ」には注意が必要で、前段で触れた「目的」と照らし合わせること、広さに移行する時期を注意深く見極めることは不可欠だと思います。
一流の専門家を目指すことが目的であれば、学びの深さを追求することは理に適っています。しかし、一流の専門家とは、「業界をリードする」、「余人をもって代えがたい域」を指すことなのか?所属する組織で一番の専門家なのか?どこまでの専門性を目指すかの見極めが必要です。
専門性は1つ間違えると、応用性のないニッチなスキルの「しがみ付き」になってしまうリスクを包含しており、当面の目標は達成したら、次のステージに向けた新たな学びが重要です。
組織として提供する環境
リカレントエデュケーションとして学び続けるために、個人だけではなく組織として環境を整えることも不可欠です。
孤独に学ぶのはかなりの意志がなくては継続できません。
しかし、組織として学ぶ環境があればそのハードルはかなり下げることが可能です。
ヒントは、①時間の使い方、②学びを楽しむ仕掛け、③学びを確認しあう風土
です。
ご興味のある方は、ぜひ、お問い合わせください。
金杉リチャード康弘
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リカレントエデュケーション(循環教育)のススメ
【リカレント・エデュケーションの歴史】
リカレント・エデュケーション(循環教育)という言葉を聞いたことがお有りでしょうか?おそらく、まだご存知のない方が多くいらっしゃるのではないかと思います。
DLAでは、この、リカレント・エデュケーション(循環教育)が、今後の日本における一部学生を含む社会人教育に極めて重要なシステムだと考えており、このシステムの体系化、普及・啓蒙を行う活動を進めています。
今日はそのご紹介をしたいと思います。
まず、リカレント・エデュケーションの歴史を紐解きましょう。
元々はスウェーデンの経済学者ゴスタ・レーンにより提唱された、生涯学習構想の1つであり、一般的には1970年代にOECD(経済協力開発機構)を通じて広められました。
教育と就労を交互に行うことを勧める教育システムのことです。
欧米では、一度就職してから大学や大学院、職業訓練制度などで学び直し、新しい職やキャリアに就くことが広く受け入れられ、仕組みとして定着しています。
しかし、終身雇用がベースにあり、社会人の教育は企業が行うことが当たり前だった日本では、一般的なキャリアプランの選択として普及するに至らなかったと言えるでしょう。
【これから注目される循環教育】
今後の日本では、人生100年構想、公的年金制度の受給開始年齢の引き上げなど、定年後の人生が長くなり、高齢者でも現役を続ける必要性が高まっています。
将来や老後に対する不透明感が増す中、セカンドキャリア(定年後の第二の人生における職業)を選択するケースが増大することが予想されることから、新たな学びの場として循環教育が注目されています。
しかし、循環教育が必要なのは、シニアのセカンドキャリアに限ったことではないと、DLAでは考えます。
第4次産業革命や働き方改革が進み、単純作業が機械に置き換わる、また、働き方(場所、種類、時間、担い手、関わり方等)が変わることで、これまでの職場における学び方だけでは、誰しもが職を失うリスクが顕在化し始めているのです。
【循環教育の可能性】
人生の長い期間働かなくてはならない、そして、新たな能力を身につけないと職を失うかもしれないという捉え方をする見方があることは事実です。
しかし、循環教育をうまく行うことで、社会も企業も働く個人も大きなチャンスを得る可能性が高いのです。
例えば、これまでの社会では、学歴やキャリアの初期につまずくと、それが足かせとなり、キャリアアップを図ることが困難になるという現実がありました。しかし、循環教育が世の中に根付けば、人生のどの時点でも、新たなスキルや経験、能力を身に付けられることから、個人としても、意図して新たな可能性を見出す機会を増すことになるでしょう。
一部で行われてきた循環教育は、しかし、どちらかと言えば、技術やアカデミックな分野にフォーカスが当たりがちでした。日本においては明確な定義も存在せず、故に脚光をあびることも多くはなかったものと思います。
【DLAの目指す循環教育】
我々DLAの提唱する循環教育は、技術、学問に止まらず、リーダー育成、各種マネジメントスキルや意識改革、行動改革やマインドセットといったプログラムに光を当てています。
そして、個人力の向上に向けたプログラムだけでなく、チームに向けたカリキュラムをキーコンテンツとして持っています。また、何を教育すればよいか?の診断、プログラムを受け入れる組織としての環境整備、各種コーディネーションやプロデュースもご提供しております。
【Howの前にWhy】
新たな仕組みは、プログラムの中身や、実施方法に目が行きがちですが、リカレント・エデュケーション実施において最も重要な要素は、「目的を明確にして行う」ことです。
ゆえに、プログラムが目指すゴール、戦略ポジションなどの目的の明確化、設定、共有からのご支援も行なっております。
循環教育に関する具体的な内容について詳しくはこちらまで。
当ブログにおいて、段階的にDLAの循環教育プログラムをご紹介して参ります。
金杉リチャード康弘
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「AI時代に勝つ人の頭の使い方〜戦略ポジション編」
【強みが足枷になる時代の到来】
筆者のコーナーでAI時代に勝つ人の頭の使い方と題して前後編でご紹介して参ります。
前編は、企業がとるべき戦略ポジションについて考えます。
本ブログで何度か触れさせていただきましたが、テクノロジーの進化により、ビジネスのライフサイクルが短くなり、国という概念が更に希薄になり、多様な人材が溢れる時代が既に到来し始めている昨今、これまでの成功パターンが足枷になるケースが増え始めています。
自社独自の技術力には、固執すれば陳腐化するリスクがあります。
自前で全ての製品・サービス開発にこだわれば、個別最適が起こり、スピード競争に追いつけないリスクがあります。
大きな組織はそれだけで、維持のために収益率が低減するリスクがあります。
これまでは強さとして捉えられた要素が、ややもすれば重荷となる場合が起こっているのです。
環境変化が激しい時代において強みを考える場合、これまで以上に「強みの意味」を問うことが必要です。
その強みはいつまで保つか? 何に対しての強みか? どの程度強いのか?
時間軸や比較対象、程度を明確にして、改めて捉え直し検証する必要があります。
周りがあまりに早く進化していくため、自社が気づかないうちに、強さの役割を終えているかもしれないのです。
他者により、代替する新たな強さが登場した場合、自社の強みを更に強化するか、新しいコンセプトに活かすか、別の強さを身に着けるかの選択をしなくてはなりません。
そのタイミングと方向の見極めを間違うと、強みが足枷になる時代なのです。
【戦略ポジションを見極める】
テクノロジーが加速する時代における差別化、価値の出し方とはどのようなものなのでしょうか?
ヒントは、ポジショニングを厳しく見極めること、ファンマーケティングを徹底させることです。
まず、これまでとは次元の違う厳密さで、自社が取る戦略的な立ち位置を見極め続けねばなりません。
例えば、東京オリンピックを当て込んで民泊ビジネスを展開することを考えてみましょう。
立ち上げ当初は利便性の良い場所に、居心地の良い部屋をできるだけ多く確保し、競争力のあるプライスを決め、WEBなどで魅力的なマーケティングを強化するという流れで、優位なポジションを確立できたとしましょう。即ち強みを持てた状態です。
しかし、ある程度の規模になってくれば、維持するためのコストがかかり、オペレーションが煩雑になり、模倣する競合による価格競争や、更なる好立地なライバルが出現することも考えられます。
自社の強みは相対的に低下し、強みの維持は時間の経過とともに難易度が上がります。
ここで、自社のポジショニングの見方を変えてみます。
「旅行者に最高な旅の経験を提供するビジネス」と捉えたら、民泊からスタートしても、強みの磨き方は、最高な旅を演出するための移動手段、食事、出会い、経験、ふれあいなどをいかにして演出するか?という観点になります。提携するパートナーなどの選定がポイントになり、進化させる領域は前者とは異なるビジネスモデルになるのです。
【ポジション見極め(=「輪」の拡げ方)の3つのポイント】
1社の思考だけでは変化の中で勝ち残れない時代です。合従連衡が益々進むことは避けられませんが、その時に重要なのは、「この会社と組みたい」と思わせられるか?です。
何を極めるか?どこで勝つか?そして、そのビジネスの成功をいち早く達成するためには、何を繋ぐか?誰と組むか?
いかにして自社のファンを増やすか?いかにしてそのファンが、潜在ファンを引き上げてくれるか? のステージアップを考慮した立ち位置を見極めることが重要になってきます。
過去にあったデータや、これまでの経験をそのまま活用するのではなく、その内容から何を描き出すか?の構想力が重要になるでしょう。
自社だけで物を考えたり、自社やこれまでの経験だけを見たり、自社だけの利益を追求するのではなく、その「輪」をいかにして拡げられるか?が人としての腕・頭脳の見せ所です。
今顕在化していない「輪」の拡げ方の3つのヒントについてご提案します。
1構想を描く:先にも述べましたが、既成概念にとらわれないデザイン力
2人をつなぐ:どんな人材、ネットワーク、コミュニティ、場を繋げるか
3自分をクビにする:これまでの自身の役割を手放し、新たな役割を任ずる
3つのヒントは、次回、求められる人材編で詳しくご紹介します。
AI時代に勝つ人の頭の使い方にご興味がある方は、ぜひお問い合わせください。
次のこのシリーズは、タレントマネジメント編です。
金杉リチャード康弘
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