リカレント・エデュケーションの先にあるもの ~よい社会を創り・継続するために~
【リカレント・エデュケーションの先にあるもの】
リカレント・エデュケーションという言葉も(少なくとも人事の世界では)だいぶ普及してきたのではなかろうか。
意味としては、生涯教育や職業訓練(職転教育)と表され、目的も「異なる職種への転職・起業するための、新たな知識・スキルを習得する活動」や、それによる「国全体としての労働力の向上と最適活用」といった主旨で語られることが多い。
もちろんその通りであるが、実はこのリカレント・エデュケーションは、産業・仕事という限られた世界のものでなく、このままではさらに進んでしまう人口減少社会に向けて、“よい”社会を創り・継続するための国家レベルでのヒト(人的リソース)の最適活用を目指すものなのである。
2025年には高齢者1人を支える現役世代は2人を下回る(1.9人)と推計されている(厚労省の発表)。
年齢が上がるにつれ、人口が多い社会を、そのグラフの形から「棺桶型社会」と言うらしく、日本の人口構造も年を追うごとに近づいている。
そのような社会は、文字通り「終わり」を意味するのか、筆者にも想像できないが、よい社会でないことくらいはわかる。
その進展を防ぎ、健全な人口構造へと是正するためには、出生率の向上が必要であり*、それには給与の増加は必須である。
子育てへの家計の対応力、公的助成の充実にむけ、その実行資金の確保が必要なのだ。
国は、そのために企業へベースアップを要求し、企業もそれに応えようとしてきた。しかし、そう簡単なものではない。
1人当たりの給与を高め、経済的ゆとりを生み出し、出生率を高めていくには、もっと抜本的な取り組みが必要であり、このリカレント・エデュケーションが1つのキーになるのだ。
*移民という方法もあるが、文化的背景含め施策そのものの議論が必要であるため、出世率のみに限定
【AI・IoT・Robotによる人の役割の変化】
ご存じの通り、AI・IoT・Robotなどテクノロジーの進化により既存のビジネスモデルが再構築されようとしている(第4次産業革命)。
これは、今まではヒトでなければできなかった業務も、テクノロジーによって代替されることを可能にしようとしている。
企業は、このテクノロジーの進化による抜本的な業務の変化を労働力の減少にも適応させる、すなわち今よりも少ない人数で仕事を行うために、ヒトがやるべき業務を明らかにし、その業務に人的リソースを集中させる方向へ、業務分担の見直しを行っている。
それが実現されれば、企業は今より少ない人数で今まで以上の収入を獲得し、結果、1人当たりの給与の向上を実現することが可能になる。
【リカレント・エデュケーションが目指すもの】
リカレント・エデュケーションは、このような社会と産業界の構造的変化を捉え、この変化にヒトの意識・スキル・能力を適応・適合させようとする取り組みなのである。
このまま棺桶型社会に日本が突入することを防ぐために、まず迎える労働力人口の減少の中で、いかに経済的ゆとりを生み出し、出生率を向上させていくかを目指す。
さらに、その経済的ゆとりを維持し、労働力人口の回復を実現する。「AIは仕事を奪うのか?奪わないのか?」といった議論ではなく、これから先迎える社会において、自分や家族はどうありたいのか、家庭に専念するもよし、家庭と仕事をバランスさせる(当然、委託育児費・介護費は上がる)もよし、経済的な理由に制約されることなく、望む生き方を実現させるため力をつけ、そのような社会であり続ける取り組みが、このリカレント・エデュケーションなのである。
DLAは、様々な教育機関・企業と連携し、個人・企業様に合った総合的なリカレント・エデュケーションのコンサルテーションを行っております。(DLAの考える)リカレント・エデュケーションをきちんと理解したいといったお問い合わせでも結構です。関心のある方は是非お問い合わせください。
T.Y