ダイバースリーダーシップ推進協会 ブログ

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目詰まりのない組織(3) ~アフターコロナも輝く組織でいるために~ ベクトルを定める。組織づくりの“良い”と“意味がある”

【組織づくりの“良い”と“意味がある”】

 

 前号では、コロナによる行動変容で、企業活動の大前提が変わったというお話をした。

これまでの企業活動の前提であった生活者の行動習慣が大きく変わり、企業は新しい行動習慣、世の中の在り様を前提に、企業活動の再構築をやらねばならなくなった。

 

そして、その再構築にあたっては、新しい前提がどういうものなのか、早く、正確に捉えることが重要であり、組織の「目詰まり」が、その認識・判断・伝達を阻害することとなった。

 

更に、すでに号砲は発せられ、誰がいち早く再構築できるのかの勝負となった現状において、目詰まりの存在は致命傷になるとお伝えした。

 

おそらく、前2を通じて、組織の目詰まり解消の必要性はご理解いただけたと思う。

次の疑問は、「どの目詰まりを」、「どの順序で」、「どこまで解消する必要があるのか?」である。

健康診断オールAまで完璧な状態、すなわち、

組織が絶対的に“良い”状態まで目詰まりを解消せねばならないのか?

 

応えは“否”である。

 

本号でも、例のプールと海での例えで話をすすめさせてもらう。

プールでの泳ぎは、何メートルか先のゴールへ向かって直線的に早く進むことを目的に、ひたすら手でかき、足で蹴るという“静的な水たまり”を前提、最適化された泳法である。

海ではそれに加え、波や海流、障害物など様々なものに適応しながら一番早いコースを探し出し、波のタイミングや潮の力を捉えたり、いなしたりして泳ぐことが必要だ。

 

【高まる戦略仮説の重要性】

何事でもそうだが、“初めて”はうまくいかない。

どちらかというと、「あっ、そういうことね!」と、その新しい環境の手荒い歓迎を通じて、“場”を知ることになる。あらゆる感覚器をフル活動させ“認識”するのだ。

そして、その“場”で勝つための方法、最適なやり方の初期仮説、すなわち戦略・戦術・プロセス設計を行う。

 

例えれば、海では波と潮と浮力と漂流物に気を付ける必要があることを理解し、そしてそれらの向き、周期性、強さ/多さなど程度を捉え、コース取りと息継ぎの向きとタイミング、ペース配分の設計を行うこととなる。

 

そして、それを実現するために必要な身体組織はどこかを明確にする。

どの感覚やどの筋肉や関節がどうあるべきか?を。

 

もうお分かりだと思うが、その実現に必要な組織の目詰まりは、必ず解消せねばならない。やや乱暴だが、言ってしまえばそれ以外の組織の多少の目詰まりはどうでもいい。

 

ただ、実際解消にあたっては気をつけねばならないポイントがある。組織には過去があり、その上に今があるということだ。

長い歴史の中で、クセを通り過ぎて骨格レベルにまで浸透しているものがある。人間でいえば、1人1人関節の動きや筋肉量・質など先天・後天的違いがあることであり、トレーニング方法、解消方法がその人その人、その会社その会社で異なる。

これは、目詰まり解消方法だけでなく、全治・完治リードタイムとしての違いもあり、取り組みの順序にも影響がある。

 

【苦手科目から克服し、組織の戦略的安定をつくる】

“戦略的安定”、なんだか形容矛盾があるようで、ムズムズするのは筆者だけだろうか。

組織は様々な機関/器官が連動しており、ある一機関/器官だけが強すぎたり、弱すぎたりするとその周囲や対称となる機関/器官に不具合が出たり、協調動作が起きず非効率性が生じる。

新たな戦略仮説を実現するためには、この不具合やムダを起こさないように取り組む必要がある。

 

その方法とは“逆護送船団方式”である。文字通り、最も遅い船に合わせる船体運動の逆である。

 

最も遅い船、すなわち最も課題がある組織・機能から着手する。そして、次に遅い船に追いつき、その2隻がつぎに遅い船に追いつくというかたちで、対象となる組織・機能のうち、最も課題が大きく、解消に時間のかかるところから着手し、ある程度目途(あとは時間の問題)がたったところで、次に課題の大きい組織・機能に着手する。

 

後ろから前を飲み込むように、どんどん追いつていくのが、もっとも美しく効率的な船団変更である。

 

もちろん、最高時速の関係でスタートタイミングを調整するといった工夫は必要になるが、船団変更の意思さえあれば多少のズレはそう問題ではない。

 

問題は、言うことを聞かない船(組織)の存在だ。

船団変更の理由=戦略仮説と自組織の役割変更へ抵抗をもった組織の存在である。そういう場合にはどうするか。

答えは「放っておく」である。

 

船団からはぐれた時、群れから離れたとき、動物的感覚なのだろうか「マズい」という感覚はだれにでも起きる。

従うか、退出するか、時間が解決する。

変われるところから、変わっていけばよい。

 

組織とは意気投合した集団で戦略を実行するのではない。

戦略を実行するために意気投合した集団であり、そういう意味でも、自社を良くしようと思わないリーダーはいない。

言葉で変われない組織でも、環境・状況を認識させすれば、変わるのである。

自分は自分でしか変えられない、変えようとするから抵抗が強くなるのだ。

 

 

【スピード勝負。ゆえに、意味ある目詰まり解消を】

市場は、“ハードウェア” “ソフトウェア” “人のこころ” が揃った時に変化する。

ソフトは比較的短期間で変えられる(作れる)。

ハードは設備投資などお金や時間がかかるが変えられる。

読めないのが“人のこころ”だ。

 

この“人のこころ”を動かすのが難しい。コロナは不安・懸念・恐れという手段により、ソフトやハードよりも先にこの“こころ”を動かし、行動習慣を変えた。

それによって、今、あらゆる産業に新しいニーズが生まれ(一部の既存のニーズが衰退し)ようとしている。

しかし、“こころ”先行かつ短期間に行動習慣の変更が起きたゆえに、そのニーズはまだ、何をどこまで充足すれば売上につながるのか?という対象と手段が確立していない。

 

その具体化・確立合戦はもう始まっている。スピード勝負だ。

 

そのような状況下で、戦略性のない100%健康体、目詰まりのない組織をつくりあげる余裕はない。

競争である以上、満点を取る必要はない。受かればいいのだ。

その余裕があるのであれば、戦略仮説の立案・検証・再構築に使うべきであり、そのリードタイムを短くするリソースの使い方をすべきである。

 

明確な目的をもった、戦略仮説というシナリオに沿ったアスリート的身体づくり、組織の目詰まり解消が今、求められている。

どのようなソフトやハードを作り、どのように事業と企業を運営すれば、アフターコロナで輝く組織となれるのか、早々にベクトルを定め、それらを阻害する目詰まり解消に取り組まねばならない。

コロナへの行動対応と、新しい行動習慣を見誤ってはいけないことは申し上げるまでもないだろうが。

 

次号からは、ベクトルの設定と目詰まりの把握ができた次のステップとして、様々な目詰まり箇所それぞれにどう対応していくか各論へと展開していく。

 

T.Y

 

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