目詰まりのない組織(2) ~アフターコロナも輝く組織でいるために~“組織の目詰まり”は、そんなに問題ですか?
【“組織の目詰まり”は、そんなに問題ですか?】
ワクチン接種も徐々に広まった安心感か、これ以上の自制は厳しいという我慢の反動か、このシルバーウィークも場所によっては賑わっていたようだ。とはいえ、例年のシルバーウィークと比べれば、まだまだ寂しい。
観光・飲食などは特に、以前のものとは全く違う状況のままだ。この1年半で、私たちの生活・企業活動の在り方は、突然、本当に大きく変わった。
DLAでは、この生活・企業活動の変化に適合し、攻めに転じて、今後も輝く組織でいるためには、組織の様々な部分に存在する(可能性がある)「目詰まり」の解消が重要であると認識し、前号よりこのメルマガシリーズを開始した。
そして、前号(初号)では、組織を身体に例え、様々な部位=種類の目詰まりがあり、それらが企業活動に影響を及ぼすことを述べた。
しかし、よくよく考えれば、目詰まりは今までもあったことであり、解消してきたとは言わないまでも相応には対応してきた企業も多いであろう。
もっと言えば、多少の目詰まりはどこにでもあることで、そこまで大きな問題ではないのでは?と思われる方もいらっしゃると思う。
まさに、前号で銀行の例を取り上げたように「何を今さら?」と。
このご指摘は、まったくおっしゃるとおり。
ですので、今号では、この「今になって、DLAはなぜ“目詰まり”の話をとりあげたのか?」についてお話ししたい。
【変わったのは、あらゆる企業活動を成り立たせていた大前提】
たしかに、これまでは多少目詰まりがあってもなんとかなってきたかもしれない。
文化・風土というあいまいな課題として、「心がける」「意識して取り組む」といった対応?でもそこまでの大きな問題は起きてこなかったかもしれない。
しかし、コロナによってそうもいかなくなってきた。
コロナが落ち着けば元に戻るものも、もちろんあるだろう。しかし、時限的なことでも、効率的なこと、負担が減少したこと、そしていったん定着したことの多くは元に戻らない。
これまでの企業活動は、これまでの私たちの行動様式に沿って、長い年月をかけ、緩やかに出来上がり、定着してきた。
それがコロナという巨大な外圧によって、一気に変わり、しかもその変化が1年を超える長きわたって存在し続け、そして定着した。
そう、これまでの企業活動の最適化の対象である、前提としての行動様式が変わってしまったのだ。
例えて言えば、今まではプールで泳いでいたはずが、突然、海に変わったようなものだ。
【通用しない今までの方法。見いだせていないこれからの正解】
コロナ前の企業の課題は、いわばプールの中でのものだった。多少腕があがらなくても、キックが窮屈であっても前に進めた。
そこに、ちょっと泳ぎのうまい奴かきた、妙な泳ぎ方をする奴がきたからどうしようか?といったもので、泳ぎ方の改善でもそれなりには対応できたかもしれない。
多少の違和感=目詰まりがあったとしても。
しかし、海でとなるとそうもいかない。
波もあり、潮もあり、浮力も強い、岩やごみが邪魔したりと、今までと同じ泳ぎ方では、誰かと競争する以前に、前に進むことすらままならない。
プールではそれなりに泳げていても、海水浴場では勝手が違うという経験は、誰にでもがあったと思う。
【ゴールの見えない大海原。組織の感度の鈍さが致命傷になる】
今、まさに起きている行動様式の変化とは、この競技の場がプールから海に変わるくらいの大きな変化だ。
コースロープも、泳法も確立されていないところで、いきなりヨーイドンとなった。
これまでの企業活動・仕事の仕方、いわばプールに最適化された泳法から、海という新しい場に最適化された泳法を自ら探し出し、そしてその方法へと切り替えなければならないのだ。そして、その方法を確立しつつある企業はかなり限定的であり、いま多くの企業がその方法を躍起になって模索している。
この新しい世界への最適化のための“探索”と“移行”を実現するためには、指先・足先からの感覚、腿や腕のハリ・疲れ、呼吸の苦しさ、波の当たる確度や潮の向き、景色の変化をリアルタイムに感じ取り、総合し、考え、判断し、調整と適合を繰り返すことが必要になる。
そんな時に、目詰まりなど許されないのだ。
小さな目詰まりが起こす、その感覚・情報の伝達、判断の鈍り、リアクションの遅れが、これまで栄華をほこった企業の最適化を失敗・遅延させ、生き残れなくしてしまうことになりかねないのだ。
この重要な局面において、目詰まりが存在することが、自らを絶滅危惧種にしかねないほどの危険なことである。
と、なんとなくでも理解いただけただろうか。
今まで大丈夫だったことも、これからは大丈夫ではないのである。
むしろ、その感覚が危ないのだ。
目詰まり解消の必要性をご理解いただいたところで、次回からは、その解消に向けた話を展開したい。
T.Y
こちらの記事は、メルマガにて先行配信されます。
ぜひ、ご登録ください。