新時代に必要な11人の戦士 ~人材育成を超える、ミッション・戦略実現のツールとして〜
前4回にわたって、これからのビジネスの世界で求められる人材として11のtypeを紹介して参りました。
本号では、この「11type」の使い方についてご紹介して参ります。
この「11type」の最大の特徴は、 “戦略の実行力を最大化し、成果を出すために開発された”ことです。
つまり、育成はその最も重要な1手段であると位置づけ、その先の成果・結果を出すこと、そのために必要な組織・チーム体制を組み立てることに狙いを定めています。
・やはり、組織は戦略に従う
組織論と戦略論、さらに両者の関係には様々な議論はありますが、11type活用の第一歩は「ミッションや戦略に基づいて11typeの組み合わせを規定する」ことです。
多くの人材定義の目的が育成や採用といった人材調達に焦点が当てられ、この視点はあまり語られてこなかった気がします。
そのせいか、組織・チーム作りに当たり「実績のある人材をたくさん集める」「規定された人材タイプを一通り揃える」といった、リソースのムダ・不足につながる運用がなされてしまっているケースも散見しています。
皆わかっているが、現実にはなかなかできていない「ミッション・戦略に最適な組織をつくること(目指すこと)」が実現できるよう、ここから話を始めたいと思います。
ミッション・戦略によって、競争環境における自社のポジションによって、また、戦略・ミッションが達成された状態と現状との距離感によって、必要な人材タイプは異なります。
この必要性は、「強さ」と「量」とに分けて考えます。
「強さ」:ミッション達成に対して各人材タイプに求められる貢献の大きさ
「 量 」:ミッション達成に対して強さを発揮する場面の量。頻度×1回あたり投入工数
まず「強さ」という点ですが、例えば、AIやIoTなど新しい技術をつかって新しいビジネス・サービスを生み出すというミッションであれば
「マッチメーカー」や「メンタリスト」、既存製品・サービスの市場浸透を実現するというようなミッションであれば「ストーリーテラー」「コンシェルジュ」が特に強く求められます。
さらに、チーム構成として、多領域や複数企業が参画するチームになるのであれば
「ダイバースリーダー」を強くしておく必要がでてきます。
このように、戦略・ミッション実現に必要なキーファクターを担う人材タイプが強く求められることになります。
逆に、実行難易度は高いがリスクは低いミッションや環境面は整っているケースなどでは「ファイアファイター」や「ステージデザイナー」の必要性は低くなるなど、活躍機会が想定しにくいものは必要性は弱いもしくは不要となります。
次に「量」という点については、それぞれの人材タイプが、常に平均的に必要なのか、前半立ち上げ期など、ここぞというときに多数必要なのか、その強さがどのように戦略実行作用していくのか、発生頻度と発生タイミングごとに求められる「量」を考慮しながら規定してくことになります。
・重要なもう1つの要素“つながり”
戦略・ミッションに基づいて人材タイプの強弱と量が規定できました。
次に、行うべきは、それぞれの人材タイプのつながりの強さの規定です。
まだ人材タイプでの議論で個人名が入って来おりませんが、最終的には具体的な「誰か」がアサインされます。
そこには必ず好き/嫌い、合う/合わないといった人間的な部分が出てきます。
実はこの関係性がミッション・戦略の実現に大きく影響します。
「弱い」:仕事上・事務的なつながりができ、必要最低限のコミュニケーションがとれればよい
「標準」:一般的に連携がとれている状態。情報共有がなされ、タスク間が整合をとって進められる
「強い」:情報連携が密にされ、阿吽の呼吸で一体的に進めることが求められる。役割の同期が極めて重要
つながりは、上記3段階で整理し、実際の整理の方法としては、強くあるべきか、弱くてもよいか、どちらでもなければ標準と考えるとわかりやすいです。
・組織の文化・風土で補正する
ミッション・戦略に基づき、人材タイプの強弱、相互のつながりまで整理できました。
最後に必要なのが、組織のクセである文化・風土(行動や意思決定の傾向)により補正をかけることです。
例えば、「うちは実行は強いのだが、計画や検証が弱い」という企業においては
「ストラテジスト」や「エグゼキュ―ションデザイナー」を強めにします。
また、「部門の独立性が高い(要はあまり仲良くない)」という企業で、横断での取り組み、チームを組む際には「マッチメーカー」や「ステージデザイナー」、
「ストーリーテラー」を強くし、エクゼキューションを構成する4つの人材タイプ相互のつながりを1ランク高めておくといった工夫が必要になります。
なお、この補正は、必ずしも独立して行う必要はなく、慣れてくれば強弱・つながりを考える際に同時に行っても構いません
このように、人材タイプをミッション・戦略の実現に活かすには、強弱は言うまでもなく、つながりや組織文化・風土まで考慮する必要があります。
もちろん、ここで行った定義は仮設であり、実際には取り組みを推進しながらも最適化を行っていくことが求められます。
そして、いよいよ誰をアサインするのかです。
メンバーそれぞれがどのような人材タイプを持つのか、日ごろの行動や関係者へのヒアリングなどから把握します。
すでにご紹介しましたが、多くの場合1人が複数の人材タイプを有します。
メンバー夫々がどのタイプを持つのか、またそのつながり(フィットするか否か)の関係性は適切か、予め整理・把握し、不足する/しそうな人材タイプをどう調達するのか、他の人材定義と同様に育成施策・採用施策へと展開していくことが重要です。
最後に、組織・チームのインフレ(過剰品質)が起きないよう、くれぐれも定義は冷静に、“最低限必要な体制”というスタンスで検討ください!
5回にわたってお届けしました「新時代に必要な11人の戦士」シリーズは、今号で最終回となります。
「うちの企業では、どう使うべきか?」「行動特性をうちの企業向けにわかりやすくできないか?」「メンバーのアセスメント(どのタイプを持つのかの把握)は、どのようにすすめるべきか?」など、導入に向けたご支援を行っておりますので、ご興味のある企業様、ご活用したいコンサルタント/ファームの皆様、お気軽にお問い合わせください。
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T.Y
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