働き方改革の現実〜産休対応できていますか?
【言葉が先行する働き方改革】
メルマガご購読の皆様、お疲れ様です。
もう、2017年も残すところ、あと数日となりました。
読者諸氏の中にも、すでに年末の休暇に入られている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
さて、12月といえば、2017年の世相を表す漢字が発表されたり、流行語が発表されたりと1年を振り返させられる機会が多い季節ですね。
2017年流行語にもノミネートされ、多くの企業で話題となったトピックといえば、下記の2つではないでしょうか。
①働き方改革
(流行語大賞:参照)
「働き方改革」は、電通で発生した事件を機に、大きくマスコミに取り上げられ、
多くの企業でも、早急に「働き方改革」に向き合い、長時間労働の削減/残業の削減等、取り組みが進んでいるようです。
また、経済産業省の政策としては、日常よりも少し豊かな時間を過ごす、ライフスタイルの変革を目指す取組として、プレミアムフライデーがありました。オフィス周辺の飲食店では、プレミアムフライデーを歓迎する割引や、デパート、地域等で色々なイベントが企画されていたことはご存知の事でしょう。
※プレミアムフライデーの詳細はこちら
【迷走する現場】
そんな中、12月初めに衝撃的な事件が起こったことは皆さんも記憶に新しいのではないでしょうか。
ある自動車販売店の管理職(店長)が、部下の残業を減らすために、自らが仕事を抱えることにより、残業(持ち帰り残業含む)が増えたことで、鬱になり自殺したという悲しい事件です。
それ以外にも、医師の長時間労働等、色々と報道がありました。
恐らく、この管理職の方は、働き方改革の1つである、残業を減らすため、残業をつける部下の肩代わりをしていたのでしょう。確かに、管理職というのは、企業からの残業代が出ない場合が多く、企業としても、管理職以外の一般社員の残業削減に目が向きがちです。
管理職が残業を肩代わりすることで、それ以外の社員の残業は削減されます。また、中には、管理職以外の方も、残業を減らす為に自宅に持ち帰っている方もいるのではないでしょうか。。。
そもそも。。。。
誰のための働き方改革なのでしょうか?働き方改革の目的はなんでしょうか?
「働き方改革」というと、家庭(子育て等)と仕事の両立を支援、長時間労働是正、女性の活躍等いくつかのキーワードが出てくるかとおもいますが、参考までに、経済産業省のHPを記載しますと以下となります。
働き方改革 ① 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善 ② 長時間労働の是正 ③ 柔軟な働き方がしやすい環境整備 ④ 病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進 ⑤ 外国人材の受入れ ⑥ 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援 ⑦ 若者が活躍しやすい環境整備、高齢者の就業促進
(http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/service/premium-friday/kihonhoushin2017.pdf)
【数字で検証する働き方改革の現実】
では、働き方改革の現実を具体的なシミュレーションで検証してみましょう。
例えば、30人(男性5名、女性25名)の組織があったとしましょう。その企業は、今回の働き方改革を機に、産休+育休制度、復職制度を充実させ、女性は勿論の事、男性も育休を利用できるようにしました。
しかし、ここ半年で、5名(女性)が立て続けに産休+育休にはいりました、また、来月から3名(女性)が産休+育休、1名(男性)が育休取得予定となった場合、単純に導入後約半年で1/3の労働力が減少したことになり、残った2/3で現行の業務を回していかなくてはならない状況になります。
単純に個々が通常の1.5倍頑張るという対応は非現実的ですが、実際に起こっている問題です。
企業の規模が大きければ、短期で派遣社員の雇用等が考えられるかもしれませんが、30名の組織で、資金に余裕がなければ、それも難しいでしょう。
働き方改革の女性活用+家庭(子育て等)と仕事の両立支援のために、事業が成り立たなくなってしまっては、もともこもありません。
また、先ほど、挙げた、自動車販売会社のように、部下の残業が減っても、管理職の残業が増えるようであれば、本来の働き方改革とは程遠い現実になってしまうでしょう。
【目指すべき改革の方向性】
更に言えば、労働生産性で見るとOECD加盟国35ヶ国中20位という日本の実力を考えると、仮に短期的に無理矢理現状を維持できたところで、労働人口が減ることが確実である日本の競争力は低下する一方となってしまうでしょう。
働き方改革とは、長時間労働の是正という側面だけに囚われるのではなく、生産性の向上とセットで考えなくてはならない課題なのです。
そのために、どのような働き方改革を実現するのか目的を明確にする必要がありますね。
その際、業務プロセスの見直しが議論の中心になることが多いですが、業務に取り組むワークフォースの設計からもアプローチは取れます。
というよりも、組織の中の眠った才能を発掘し、組織の多様性をどう最大化できるか?という課題は、やり方によっては、飛躍的な生産性向上に繋がる可能性があるのです。
まさに働き方そのものを抜本的に改革することが必要なのですね。
年末年始の休みを利用して、一旦立ち止まり、まず自分の言葉で腹落ちをして、その基本方針に沿うためには、チーム、部署、会社と規模に関係なく、自分事として、お互いを巻きこみ、2018年は少しでも、このような悲しいニュースが起こらないようにできればとおもいます。
DLAでは、真の働き方改革に向けた、目的の明確化、業務の見直し、各種データを活用したHRテクノロジーによる、組織多様性の最大化まで、一貫したサポートを行っています。ご興味のある方はお問い合わせください。
M.S
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