質問力を磨く〜無意識に光をあてる
【聴くイメージはあるのか?】
今日は現代日本社会の質問力を検証してみましょう。
昨今の国会中継や記者会見でのインタビューを通じて、議員やメディアの質問力に思わず首を傾げてしまうことが増えました。読者諸氏におかれてはいかがでしょうか?
国会では何度も同じ議題を取り上げるも、一向に議論は深まらなかったり、メディア各紙はスポーツ選手や、アーティストに向け「本当に今、聴くべき質問か?」という問いを投げ掛けたり、というシーンに出会う機会が増えていないでしょうか?
そもそも「何が聴きたい」、「何を掘り起こしたい」という目的はどの程度見えているのでしょうか?
【深掘りという言葉の誤解】
筆者は仕事柄、様々な方にインタビューをさせて頂く機会が多く、それこそ質問力が非常に求められます。
その際、気をつけているのが、「尋問と投げ掛け」の違いです。何も考えずお決まりの質問をするのは論外としても、インタビューはある意味、引き出す深さが重要です。
しかし、それを刑事ドラマの取り調べのように、尋問しているかのような進め方にならないよう、効果的な投げ掛けを常に留意しています。
当方にその気が無くとも、受け手は尋問に感じることは容易に起こります。即ち、深掘りという言葉に縛られ問い詰めてしまうという構図です。
では、どのような聴き方ができれば良いのでしょうか?
【ポジティブな心で「なるほど!」にたどり着く】
心構えとしては、ポジティブな目的を持つことが肝要です。回答者にとってメリットを感じて頂け、その内容が多くの方に有益なことにつながる。そう感じて頂くだけでも尋問からは解放されるでしょう。
加えて、「なるほど!」と思える深さに到達できいるか?をチェックします。とは言え、どこまで行けば「なるほど!」なのか?見極めが難しいところです。
【3つの段階をイメージする】
そんな時に、ステージを考えてみることをお勧めします。
筆者は今どの段階にあるのか?を3つのステージで考えています。
決まり切った形式的な質問を行うことをステージ0とすると、ステージはその上に3段階あると思います。
ステージ1:相手が聴いて欲しいことを的確に引き出す。
容易に感じるかもしれませんが、聴いて欲しいことを具体的にイメージするためには、相手のバックグラウンドの理解と、目指すものを想像しなくては、「なるほど!」には到達しません。
ステージ2:聴かれなければ言わないことを掘り起こす。
「なるほど!」は、根っこまで辿り着けないと感じません。その前には、できれば言わないでおこうという壁が存在することを意識しなくてはなりません。
ステージ3:本人も気づいていない無意識に光をあてる。
ステージ1、2とは異なり、回答者が意識していない深さであり、ここが肝であることが殆どです。この領域まで到達するためには、3つのアプローチを使います。
- 精度の高い仮説立案:物理的制約条件、ステークホルダー、回答者のインサイトなど、整理すべき要件をイメージします。
- 多角的視点による3D可視化:確認したい内容を様々な角度、立場から考え、可視化します。
- 回答の整理整頓:回答内容の構造化を行います。
詳しい内容にご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
ご紹介した以外にも、様々なアプローチは存在します。最後は相手に対する関心をどれくらい持てるか?物事に対する好奇心が重要だと思います。
ノーベル賞を受賞された、本庶教授も「教科書を疑え」、「自分の頭で考えろ」という趣旨のご指摘をされておられましたが、正にその通りだと痛感します。
質問力の磨き上げ、ご興味があれば、ぜひお問い合わせください。
金杉リチャード康弘
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