ダイバースリーダーシップ推進協会 ブログ

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「本当にやりたいこと、見えていますか?」ー組織に眠る才能の発掘方法①

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【”本当にやりたいこと”が持つ力】

 

読者の皆さんにあえて伺います。
あなたにとって、ご自身が心の底から欲するやりたい仕事、取り組み、活動は、

どの程度明確でしょうか?

最近、DLAでは、人材の伸び代をいかに見極めるか?という課題に取り組んでいます。
幾つかのプロジェクトをご相談先の組織で行う中で、
上記の問いである、「本当にやりたいことが見えているか?」が非常に重要な判断基準の1つであることがわかってきています。

 

そこで、本コラムで、人材の伸び代の見極め方について、
「眠っている才能の発掘方法」と題して次回と合わせて2回に分けてお伝えして参ります。

 

まずは、このテーマについて示唆に富んだ研究があり、第一弾としてご紹介をします。

 

その研究は、沖縄県で実施されている子供向けのプログラミング教育をベースにしています。
この教育活動は、筆者の友人であり、DLAの外部パートナーでもある大森洋介さんが、長年取り組まれているものです。(少しだけ、筆者もサポートさせて頂いております)

 

ゲームをプログラミングするという体験を通じて、論理思考を学ぶというもので、元々は、沖縄県の子供たちに、より豊かな職業体験を積んでもらうために実施されてきました。
大学の研究者たちと組んで、活動の幅を広げられており、体験者が2,300名を超える非常に素晴らしいコンテンツに育ち、沖縄では今ちょっとしたブームになっています。詳しくは、当サイト をご覧ください。

 

このプログラミング体験で、非常に驚きの結果が出ました。
大学生と小学生に、同様にプログラミングの授業を行ったところ、よりよく習得できたのは小学生だったのです。

 

およそ2時間のプログラムで、小学生、大学生共に、100%プログラムを作れるようにはなるそうです。
が、その上で、習得したプログラミングを自ら応用できるかにも挑戦させると、小学生は、体験者の80%が達成したのに比べ、大学生は50%程度に止まったのです。

 

論理思考性のカリキュラムですから、本来大学生が有利だと思われる類のものですが、結果は真逆になったのです。

 

 

その理由として、大森さんの見解、及びDLAのこれまでの知見から、導き出された事があります。
それは、ズバリ、”活動を楽しんでいるか?”

 

「子供は楽しんで学ぶという”情動が動機”であるのに対し、大学生は義務感、勉学の一環、就活のためなど”理由付けの動機”が多く、楽しむという要素は小学生に比べ低いと感じます」
「それを裏付けるトピックとして、大学生にスタッフをしてもらい、小学生と一緒に作ってもらうことがあり、その時には思わぬ良作が生まれます。見ていると、素直に楽しんでいる小学生に大学生が巻き込まれて素直に楽しみだしているのです」というのは大森さんの言葉です。

 


【仕事で起こる負のサイクル】

この結果から、学べることは以下のようなサイクルでしょう。

 

楽しんで行う=やりたい事=自ら能動的に多くのエネルギーを投入する=結果・成果は自ずと良いものになる。

 

一方、反対のメカニズム(大学生のパターン)としては、

 

理由付けをする=楽しむ<義務感・責任感=エネルギーの投入量は相対的に低下する=結果・成果は上がりにくい。

 

これを、ご自身や周りの方の仕事に置き換えてみたらどうでしょうか?

目の前の仕事は純粋にやりたい事でしょうか?
100%そうでなくても、やりたい事は明確になっているでしょうか?

 

勿論、仕事というものは、やりたいことだけで成り立つものではありません。

しかし、脳の片隅で常に、やりたいことに向けて目の前の仕事をどう役立てられるか考えることはできます。

 

“やりたい事が明確で、そこに十分にエネルギーを投入できている” ポジティブなサイクルが発揮するパワーは、”想像以上の成果”を生む確率を高めます。

そして、脳と心に充足感も得られるため、習慣化されやすく、ますます良い成果に繋がりやすいのです。

 

その反対に、義務感のサイクルは、エネルギー投入量が上がりにくく、成果も上がりにくいのです。
更には度合いによっても異なりますが、やらされ感、やりたくないなどネガティブなサイクルになってしまうと、マイナスのパワーが発揮されることすら有り得ます。
そこで、ご自身でも部下など周りの方でも、やる気レベルを高め成果を気持ちよくあげられるようにするためには、義務感にならないように工夫する事が必要なのです。

 


【楽しむためのキーワード=安心感】

これについて、大森さんの活動から、大学生の動機が、なぜ情動ではなく理由付けの動機になってしまうのか、をヒントに考えてみましょう。
やはり、大きくは、プログラミングに向き合う際に、「面白そうだから」というよりも、「単位になるから」といった何らかの理屈が優先した可能性があるでしょう?

 

面白がるためには、心が素直な状態が必要です。
そして、素直になり、自分の気持ちに正直になるには勇気が必要です。
成長するにつれ、素直になることが難しい。

なぜでしょうか?

 

素直になるには、鎧を脱がなくてはなりません。

鎧を脱ぐには安心できる環境が必要です。

大人になるにつれ、組織などひとの集合体では、様々な思惑や組織の論理で、この環境づくりが難しいですね。かなり意識的に作らなければ、成し得ません。
だからこそ、組織の眠った才能を発掘するための第一ステップは、安心感を提供すること、心の鎧を脱いで素直になれる環境を整備することだと考えます。

 

みなさまの環境はどの程度整備されているとお感じですか?

 

次回は、環境整備の方法と、その環境下で眠った才能の発掘方法について考えてみたいと思います。

 


金杉リチャード康弘

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