ダイバースリーダーシップ推進協会 ブログ

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「適材適所」と「職場での相性」について考える

最近読んだ、ある、脱サラして起業した人のブログ記事に、「サラリーマン時代に、部署異動しただけで、周囲からの自分への評価が180度変わった」というくだりがありました。

同様の経験を仕事上したことのある方は、かなり多いのではないでしょうか。

 

私も、数年前に所属していた職場で、ある部署から別の部署へ異動した際、

それまで「営業としてトライアルが少ない」と上司からお叱りを受けていた腰の重さを、

新しい上司からは「熟慮を重ねて質の高い提案をする」と評価され、驚いた経験があります。

私自身は、仕事のやり方を全く変えていないにも関わらず、です。

 

どんな職場でも評価され、最大のパフォーマンスを出す人、というものは、残念ながら存在しません。ある場所で有能な人間が、別の場所では無能ということ、そして、その逆は往々にしてあります。

 

そのような際に取りざたされる概念が「適材適所」です。

 

【「適材適所」の偏った解釈】

「適材適所」は、元はと言えば建築用語で、木材を適した場所に配置することが発祥のようです。つまり、木材の硬さや木目を見て、建築物のどこに配置するのかを決めるということです。(余談ですが、熟練の大工は木材の微妙な癖や特徴から、将来の「反り具合」まで予測して配置するそうです。未来の可能性まで検討に入れるのはさすがですね)

木材における硬度や木目ではないですが、人材の配置も、スキルや実績といった、表出した特徴によって「適所かどうか」を決められることが多くあります。

 

しかし、それだけでうまくいくでしょうか。

スキルや実績が申し分なくフィットした職務なのに、期待されたパフォーマンスが十分出せない、ということは珍しくありません。

理由の1つが、仕事は1人で行うものではないから、ということは明らかです。

厚生労働省の有名な調査によれば、仕事や職場にストレスを感じていると回答した60.9%の回答者のうち、41.3%の人が、ストレスの原因が人間関係であると回答しているのです。(厚生労働省 H24 労働者健康状態調査 結果の概要 *pdfファイル

 

【相性がいい?悪い?】

人間関係についてよく言われるのが「相性の良さ」です。

職場においても、なんとなくウマが合う相手、気の進まない相手がいるというのは、ごく普通のことでしょう。

プライベートと違って、”相性が良くない”相手とも付き合わなければならないのが職場です。

そこで、その「相性」についても少し考えてみたいと思います。

 

「相性が良い」「悪い」というのはどんな状態なのでしょうか。

「相性が良い」と感じるときは、自分から沢山のアイデアが湧いてくるように感じたり、ディスカッションが活発になり、会議の結論がサクッとまとまったり、効率よく仕事が終わるように感じたりします。

一方で、「相性が悪い」相手とは、会話がかみ合わず平行線になったり、何も思いつかなくなったり、いつまでも仕事が終わらないように感じるでしょう。

 

そんな時、「この人とはうまくいかないのだなあ」と感じ、途方にくれるのが人情です。

しかし、それで良いでしょうか?

 

会話がかみ合わない相手とは、視点が異なる可能性があります。

何も思いつかないとき、脳は必死に考え、答えを出そうとしています。

「相性の良し悪し」を超え、人同士の組み合わせとしてみた時、その相手は、今の自分にない視点を与え、伸び代を引き出す負荷を与えてくれている存在なのかもしれないのです。

 

【ペアリングの妙による人材マネジメント】

このように、人間同士というのは、ペアリング、マッチングによって、お互いに引き出されるものがあります。AさんのBさんへの評価と、CさんのBさんへの評価が異なるのは、AさんとCさんの評価尺度が違うからということもありますが、実際にBさんがAさんといるときとCさんといるときで違う面を引き出され、違う人間のように見えるということもあるのです。皆さんもきっと、ご経験のことでしょう。

 

この時、「あの人は、自分に接している時と、別の人に接している時に、全く違う人のようだ」とか「自分は、Aさんといると頭が良く回るが、Bさんとだとかみ合わない」という風に、自分か相手のどちらか片方が変化しているように見がちなことがあります。

しかし、実際は、人の組み合わせは相互作用であり、相手からも自分からも引き出されているものがあり、引き出されあったものによってパフォーマンスが変わるのです。

 

管理者、マネジメントとしてこのことを考える際には、もちろん、パフォーマンスが高いチームを作るために、いくつか気にしておきたいポイントがあります。

 

(1)良いものが引き出され合う組み合わせでチームを組む

(2)(1)の目的のために、個々のメンバーの武器・特性を正確に把握しておく

(3)(2)の際に、メンバー個人の個性として見えているものだけがその人の全てではなく、将来の可能性や組み合わせで表出するものが重要だと認識しておく

 

良いものが引き出され合う組み合わせを実現するメンバーの個性把握の方法、組み合わせの特徴の見方の具体的な方法については、ぜひ、お問い合わせください!

 

B.K

 

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