ダイバースリーダーシップ推進協会 ブログ

ダイバーシティと多様性を強みに変える組織作りコンサルティング 育成のプロ集団、ダイバースリーダーシップ推進協会のブログです。

働き方改革と多様性

働き方改革と多様性

 

 電通事件で再び注目される過労死問題

 

2016年も暮れようとしています。

 

今年世間の耳目を集めた事件を総まくりする報道の中で、

10月にニュースとなり、記憶にも新しい、大手広告代理店 電通の過労死事件についても、

再び取り上げられることが増えているようです。

 

新入社員であった高橋まつりさんが、ちょうど1年ほど前の2015年12月25日、

クリスマスのその日に自らの命を絶った、とても痛ましい事件でした。

SNS上の彼女の手記の生々しい、苦しい肉声が多くの人の心に刺さり、

電通には今も多くの批判が集まっています。



この事件では、彼女の自死直前の残業時間が月間105時間と、「過労死ライン」とされる月間80時間を超えて

いたことがクローズアップされました。

 

その結果、ある大学教授を初め、一部の人々から「月間100時間程度で過労死とは情けない」

「自分はもっと働いている、いた」などという主観的な批評がインターネット上で物議を醸しもしています。

 

勿論、世論の大半はそうは考えず、また、電通自体も是正措置としての働き方改革を即時に打ち出しました。




労働時間削減の対策

 

その改革の中で、まず発表されたのが、夜10時に全館消灯することで深夜残業を防止する、というものでした。

 

残業を一部禁止、或いは制限する対策は、多くの企業でとられており、有効とされています。

この変形で、朝型勤務へのシフトを促す企業事例も耳にされたことがあるでしょう。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査(リンク先pdf)によれば、調査対象企業の46%が

「労働時間を今後短縮していく」と答え、約20%が「朝型へのシフトを検討する」と答えたと言います。

 

この流れを受け、経済産業省も、月の最終金曜日に15時退社することを企業に促す「プレミアムフライデー」構想

を打ち出すなどしています。

 

働く人の過労が常態化するような職場環境では、思い切った労働時間の削減を、

一律トップダウンで進めていくことは重要でしょう。

しかし、それだけで全てうまくいくでしょうか? 敢えて、異なる視点で論じてみようと思います。




全体主義的な制度と個々人の多様性

 

ルールを制定し、その遵守を求めるというやり方は、ある意味全体主義的です。

 

どんなにフェアに制度設計したつもりでも、

何らかの理由でその制度に適合できない人は出てくるものですが、

ルールを形骸化させないためには、そのような人にも遵守を迫る必要が生じ、

何がしかの形で強制力をもたせた制度にする必要があるからです。

 

この点を、ダイバーシティ・多様性の観点からみた際には、

どうしても、「切り捨て」が生じてしまいます。

 

敢えて極論をあげますが、例えば、電通事件の例において、

仮に、「自分は超夜型なので、夜10時以降にこそ能率が上がる」という人がいたとしたら、

その人個人にとっては、強制消灯という措置は、マイナスにはたらくわけです。

(勿論これは例であり、深夜残業を奨励するものではありません)



このメールマガジンをお読み頂いている皆さんには申し上げるまでもないことですが、

人間の考え方・スキルは1人1人異なります。

 

労働時間・負荷の問題を、多様性の文脈で論じる際によく挙げられる議題に、

「男女の体力差による適切な労働体系のあり方」があります。

体力的に男性に劣る女性に対し、主に制度面での配慮をするというものですが、

これは、性差と体力という ごく分かりやすい差が存在するから論じられやすいのだと考えられます。

が、本質的には、男女を問わず、人間1人1人のスペックは全て異なるのではないでしょうか。

 

また、同じ1人をとってみても、状態は時により異なります。

短期的には、体調や気分により、日毎に、或いは1日の中でもパフォーマンスは異なります。

そして、少し長い目で見たときには、キャリアの時期・ライフステージ・その時々に取り組んでいる

仕事とのフィット感などでも、労働により感じる負荷や、能率は、変わっていくものなのです。



つまり、働く人が100人いたとして、100人全員が許容できないラインというものが仮にあり、

線引きをしなければならなかったとしても、個々人のラインというものは、人により、あるいは

時期により揺らぎがあって当然であり、それを視野に入れない制度・対策はうまくいかないので

はないでしょうか。



多様性を踏まえた制度運用

 

個々人の多様性を視野に入れた制度は理想です。

 

そこをゴールに置くとしても、現在進行形の課題が目前にある状態では、段階を踏む必要があります。

まずは現状を是正する制度を作り、組織のポリシーを明確にし、一旦 一律でリスクを軽減することは

重要であり、有効でしょう。

 

長時間労働の問題でも、日本においては、全体主義的に対策を講じなくてはならないレベルの組織が

多く存在しているのは事実です。

 

その先に、多様性を踏まえたもう一歩を考えるにあたっては、個々人が、その時々に、

常に自分の100%が出し切れるよう、働き方を調整できる、柔軟性・弾力性のある制度が

必要になってくるのだと考えます。

 

そして、制度設計はゴールではありません。

 

働き方改革において、個々人が、各々「考えて」行動する必要がある柔軟な制度を成功させるには、
組織全体で取り組まねばならない要素が2つあります。


  1. 個々人が自分を知ること
    自分がどのような状態でパフォーマンスを発揮できるのか?常に自問自答し、人に伝えられるようになること

    2. 会社・組織が、個々人が仲間に興味をもち、常にコミュニケーションを取り合う状態を実現すること

個々人が各々の努力のみで踏ん張るのではなく、個々の違いを前提に、チームパフォーマンスが安定・向上するよう、

組織と上長が目を配ること

 

ダイバースリーダーシップ推進協会では、この2つを実現し、働き方改革を成功に導くためのメソッドを

開発・提供しています。

 

労働時間の是正をそれだけに止めず、パフォーマンスの向上につながる働き方改革を実現したい企業・組織

のみなさま、是非 お気軽にご相談ください。

 

B.K

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