いかなる個人より全員のほうが賢い
「いかなる個人より 全員のほうが賢い」
世界で最もイノベーティブな会社と言われる、IDEOの共同経営者トム・ケリー氏の言葉です。
日本にもどなたでもご存知の言葉で、「3人寄れば文殊の知恵」というものがありますね。
たとえ凡人だとしても3人集まって考えれば、
知恵を司る菩薩である「文殊」にも劣らない良い知恵が出せる、という例えです。
個人の能力をいかに高めても、個人がばらばらに存在する限り、
その個人の能力の積み上げ(=足し算)が限界となります。
しかし、集団の場合、メンバーどうしの能力を十分に引き出せた場合の総合力は、
それぞれのメンバーの異なった経験、個性、強み、知識が相互に作用する事で、掛け算となり、
個人の能力の足し算をはるかに凌駕する確率が極めて高くなります。
つまり、トム・ケリー氏の言葉通り、「いかなる個人より全員のほうが賢い」状態となるのです。
リオ五輪 日本男子100mリレー代表は なぜ銀メダルを獲得できたか?
最近の身近な例をあげてみましょう。
リオ五輪における男子100メートル×4リレーで、日本は見事銀メダルを獲得しました。
あの感動的なシーンはまだ読者の皆さんの記憶に新しいところだと思います。
あの素晴らしいレースを、データだけの足し算で見るとどうなるか?概ね以下です。
金メダルのジャマイカチームの4人のベストタイム合計=38:89、
失格とはいえ、実質3着のアメリカチームの4人のベストタイム合計=39:15、
そして銀メダルの日本チームの4人のベストタイム合計=40:38。
実にジャマイカとは約1.5秒も差があり、
オリンピック選手の100メートル走の場合、およそ15メートルの差が出る程度の開きです。
結果はジャマイカ37:27、日本37:60、失格のアメリカは37.62で、
日本チームが堂々の2着であったことはご存知の通りです。
もちろんバトンパスのテクニックなど、一概に記録の積み上げだけで言えるものではありませんが、
日本チームのタイムは、日本記録はおろか、アジア記録も塗り替える堂々たるものでした。
しかし、注目したいのは、メンバー個人ではケンブリッジ飛鳥選手以外は、
直前の100メートルの記録は自己ベストには届いていない状況だったという事実です。
なぜこのような素晴らしい結果になったのでしょう?
大きくは2つの要素が重なったことでしょう。
1つは明確な目標が存在し、共有されていたことです。
それは、「メダルを獲る」こと、そしてその役割と責任を明確にしていたことです。
これによってメンバーに十分な動機付けができたのだと思います。
2つ目は全員の力を引き出す知恵を全員が振り絞ったことです。
能力を引き出すという意味で、身体能力だけではない、総合力が必要です。
全員の持ち味を十分に理解し、引き出すこと、この2つの要素が掛け算の効果を生み、予想以上の成果になるのです。
この一見奇跡に見える予想以上の結果をもたらす状況を意図的に作りだして行くのが、
掛け算の公式である、
目的の明確化(=役割と責任)×多様な力の引き出しあい(=チーム全員の力)=組織力の最大化なのです。
しかし、目的の明確化、全員の能力を引き出すと言っても、簡単な事ではありません。
引き出すためのキーワードを幾つか挙げてみたいと思います。
「目的を腹に落として自分ゴトにする」
「違いを理解し、受け容れる」
「萎縮ではなく解放させる」
「揺らぎを見定め対応する」
これらのキーワードについて、ご興味のある方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
ダイバーシティ× リーダーシップ の様々なご疑問に お答えします。
金杉リチャード康弘
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