ダイバースリーダーシップ推進協会 ブログ

ダイバーシティと多様性を強みに変える組織作りコンサルティング 育成のプロ集団、ダイバースリーダーシップ推進協会のブログです。

PJの現場から – 泥沼からのチームビルディング(1)

お盆休みも明けて一週間がたち、皆さんの職場でも休み明けモードからそろそろ本格的に業務が再始動し始めている頃でしょうか。

 

7月までの連載「新時代に必要な11人の戦士」はいかがでしたでしょうか?今回のメルマガでは、実際に私が参画したあるプロジェクトでの事例を通じて、人材タイプの考え方の適用方法、チームビルディングの進め方などのイメージを3回シリーズにてお伝えしたいと思います。

 

ただし、、決して「綺麗な成功事例」をお伝えできるものではないことを先にお断りしておきます。どちらかといえば「ドタバタ劇」に近い、「あるプロジェクトでの、ある当事者の奮闘記」です。

正直「もっと良い対応もできたのでは、、」と今でも反省が多いプロジェクトでしたが、「色々な制約がある中で、現場レベルでも例えばこんなことはできるのでは?」という内容です。

ご参考になれば幸いです。

 

※なお、以降の内容は実話に基づいておりますが、情報保護のため一部内容は改変しております。

 

【始まらないプロジェクト】

・プロジェクト概要:ERP導入による基幹システム老朽化更新(グローバル10数ヶ国、約20拠点)

・総期間:2010年~2025年 (筆者の参画:2017年後半~2019年前半頃)

 

業務を支える基幹システムを総入れ替えすることに対し、会社の業績や役員人事にも翻弄され、「実現性を重視し、極力簡素化してやり切ろう」という考え方と「折角の機会に業務を全面的に見直そう」という考え方の間で会社としての方針が二転三転。

 

私が参画した「プロジェクト開始から7年目」の時点で「4度目」のプロジェクト計画全面見直しの最中であり、いくつかの小規模トライアルを実施した以外「実質的にまだ何も始まっていない」という状態でした。

 

【始まる前から疲弊しているプロジェクトチーム】

さて、方針があまりにも長期に亘って二転三転したため、当初は「老朽化への危機感」や「刷新への期待感」を持って意欲的に取り組んでいたメンバーも、ある方は異動し、ある方は定年を迎え、、残った方々も「もはやどうにでもなれ」と言わんばかりにただ経営の指示に従って資料をまとめるだけという意気消沈ぶり。

 

どうにか4回目のプロジェクト計画見直しを実施し、ようやく要件定義フェーズの開始にこぎつけることができたのですが、その時点でのプロジェクトチームは「貧乏くじを引かされたメンバーの集団」と形容せざるを得ないほど疲弊しており、「戦略実現に向かって編成されたチーム」という状態からは程遠いものでした。

 

強いていえば、誰もが「パフォーマー」タイプとして「せめて自分の担当分野だけに専念しよう」という状態で要件定義フェーズが開始されてしまったのです。(もちろん、良くも悪くも「自分の殻」という個別最適に閉じこもっていたという意味なので、プロジェクト全体として望ましい状態ではありません。)

 

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【泥沼からのチームビルディング】

こうした状況に対し、まさにプロジェクトの「プラットフォーム」を整えるチームが立ち上げられることとなり、私もその一員として参画することとなりました。

 

このチームの役割は、プロジェクトのタスクを直接的に遂行することではなく、「プロジェクトチームが無事にプロジェクトを完遂できるよう、プロジェクト内外の利害関係者との横串調整・側面支援を提供すること」にありました。

 

こうして、開始時点で既に泥沼にはまっていたプロジェクトチームを、なんとかして「チームとして機能」するように立て直す取り組みが始まることになったのです。

 

果たしてプラットフォームチームはどのようにチーム立て直しに取り組んだのでしょうか?

 

次回以降、各役割を担う人材が陥っていたより具体的な状況と、そこへどのような対応を打っていったのかをお伝えいたします。

 

次回       Leader機能の強化: On/Off両面でのコミュニケーション&「政治」の利用

次々回    Planning/Execution機能の強化: 身近に居た「適材」を借りる&敢えての「隔離」

 

繰り返しになりますが、結局は色々な制約条件を前提とする中で、その組織・その時点で考えうる最善策と思ったものを何とか実行してきた結果というだけですので、必ずしも「正解」ではありません。

 

しかし、皆さんもきっと同様に、それぞれに所属されている組織の制約条件の中で試行錯誤をされているものと思います。皆さんの組織・チームの状況はどうか、例えば今後どんな打ち手がありそうなのか、一緒に考えながら次回以降のメルマガを読んでいただければ幸いです。

 

I.Y

 

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「Are you ready?」〜働き方改革への準備は十分ですか?

前回まで5回にわたって、「新時代に必要な11人の戦士」シリーズをお届けして

参りましたが、如何でしたでしょうか?

8月になり、梅雨寒もようやく開けたと思ったとたん、連日のように全国各地で猛暑日が続いていますが、夏ばて等されていないでしょうか?

 

お盆前ということもあり、多くの方々が、夏季休暇に入る前というタイミングかと思いますが、本日はご自身の働き方改革のレベル(Are you ready ?度合い)=本番に向けた準備というテーマで、記載してみたいと思います。 

いつものブログよりも、実践レベルの内容になりますが、お盆休み後にチーム運営の仕方を変えてみるための、振り返りのきっかけになればと思います。

 

閑話休題。先日も、ニュースで東京都のオリンピックに向けた交通に関する準備の一環が紹介されていました。

7月24日から二日間に渡って、都心部の混雑緩和に向けた大がかりな交通規制実験が行われ、競技会場への主要ルートとなる首都高速道路では、通勤時間帯を中心に最大で33カ所の入口を閉鎖し、環状7号線では都心方向への流入を抑制し、過去に例のない規模で、交通規制のシミュレーションを実施したとのことです。

 

オリンピック期間の前後は、今まで以上に、多くの観光客が東京におしよせ、多くの人達が、電車、バスとあらゆる交通機関を利用するでしょうし、交通機関を含む交通網への影響はただでさえ、朝の通勤ラッシュを経験していると、恐ろしくも思える状況が目に浮かびます。

 

1年後のオリンピックに向け、様々な準備が着々と進んでいるとは思いますが、大掛かりに行っても想定外の事は必ずと言って良いほど起こります。

 

そんな意味で、皆さんの「働き方改革」への準備は十分でしょうか?

 

 

 【働き方のReady状態は?】

2019年4月から、働き方改革に関連する法律が新たに施行されて

長時間労働の是正や、多様で柔軟な働き方の実現と、働く方々が、それぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するために色々と取り組みがされていますが、多くの施策は長時間労働の是正のみに焦点が当たっているように思われます。

 

本来の働き方改革とは、生産性を保持、或いは向上させる事と同時に実施されるべき内容ですが、それを実現するのは、オリンピック並み(?)の目標や計画が必要ではないでしょうか?

ましてや、そのシミュレーションという意味での、仮説検証も必須ですね。

それらを踏まえ、皆さんや皆さんの企業での準備や、試行は十分でしょうか?

 

  【狙いは正確ですか?】

先日、とある企業に働いている友人と話したとき、リモートワークしたいけど、その方が時間もかかるし、作業も増えるので、滅多な事がない限りしないという話を聞きました。

 

その企業では、リモートワークを実施するにあたり、1週間前からその日にどの様な作業を実施するかの計画書を作成したのち、上司へ申請、承認を得る必要があるとの事です。

また、リモートワークを実施した後も、計画書に対しての実績を報告するなど、オフィスで働いていたら「不要」な、計画書の作成と、それに対しての報告書の作成と言った具合に、通常必要ない作業が増えるため、リモートワークは極力実施しないようにしていると言っていました。

 

私はそれを聞いていて、flexibleな働き方をするために、un flexible な作業が多いのでは本末転倒だと感じてしまい、それでは、何のための働き方改革なのだろうと思いました。

 

コンサルタントという職業柄か、リモートワークをかなり前から活用していた私からすると、リモートワークでもオフィスで働く事も、あまり大差がないはずなのに、なんでそんな色々と追加作業が必要なのだろうと思っております。

 

常に(適宜)、上司、チームとタスクや、業務のスケジュールを共有していれば、リモートワーク実施前日にでも、翌日の自分の担当タスク、リモートワークする事でのチームへの影響有無を把握できるでしょうし、自分のタスクを明確にした上で、特に厳密な計画書を作成せずとも、リモートワークができるのではないでしょうか。

リモートワーク中でも、相談事があれば、メールや電話、テレカンで随時コミュニケーションを取れば良いし、レビューが必要であれば、テレカンで実施とflexibleに対応は可能です。

 

確かに、職種や業務内容によっては、リモートワークは制約される職種・業務があるとは思いますが、今までのやり方では、制約されても、やり方を変えれば十分にリモートワーク可能な業務もあるのではないでしょうか。

 

また、柔軟な働き方をするために必要な管理も、常に上司と部下で状況を共有しておけば、1週間前から準備して、全て管理するやり方は必要ないのではないでしょうか

 

例えば、ブレインストーミングなど、アイデア出しの会議や、多くのInteractionが発生する場合は、F2Fの会議、ひざを突き合せた会議の方が心地よい時もあるかとは思いますが、折角の働き方改革のタイミングですし、「どう働くか」を考えてみてはいかがでしょうか

 

 【大イベントをきっかけに!】

また、前段でも書かせていただきましたが、オリンピックシーズンには、多くの観光客が東京におしよせ、交通機関が逼迫する可能性がありますので、オリンピックシーズンに年休を取り、お休みをするというのも、選択肢の1つではあります。

 

が、いっそのこと出社せずとも、オフィスで働くのと同じパフォーマンス、アウトプットを出す方法を考え、働き方改革を実行してみてはいかがでしょうか?

 

今年の夏休みにまず、ちょっとでも頭の片隅で、働き方改革って何だろう?と考えていただければと思います。

 

M.S

 

 

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新時代に必要な11人の戦士 ~人材育成を超える、ミッション・戦略実現のツールとして〜

前4回にわたって、これからのビジネスの世界で求められる人材として11のtypeを紹介して参りました。

本号では、この「11type」の使い方についてご紹介して参ります。

 

この「11type」の最大の特徴は、 “戦略の実行力を最大化し、成果を出すために開発された”ことです。

つまり、育成はその最も重要な1手段であると位置づけ、その先の成果・結果を出すこと、そのために必要な組織・チーム体制を組み立てることに狙いを定めています。

 

・やはり、組織は戦略に従う 

 組織論と戦略論、さらに両者の関係には様々な議論はありますが、11type活用の第一歩は「ミッションや戦略に基づいて11typeの組み合わせを規定する」ことです。

多くの人材定義の目的が育成や採用といった人材調達に焦点が当てられ、この視点はあまり語られてこなかった気がします。

そのせいか、組織・チーム作りに当たり「実績のある人材をたくさん集める」「規定された人材タイプを一通り揃える」といった、リソースのムダ・不足につながる運用がなされてしまっているケースも散見しています。

皆わかっているが、現実にはなかなかできていない「ミッション・戦略に最適な組織をつくること(目指すこと)」が実現できるよう、ここから話を始めたいと思います。

 

 

ミッション・戦略によって、競争環境における自社のポジションによって、また、戦略・ミッションが達成された状態と現状との距離感によって、必要な人材タイプは異なります。

 

この必要性は、「強さ」と「量」とに分けて考えます。

「強さ」:ミッション達成に対して各人材タイプに求められる貢献の大きさ

「 量 」:ミッション達成に対して強さを発揮する場面の量。頻度×1回あたり投入工数

 

まず「強さ」という点ですが、例えば、AIやIoTなど新しい技術をつかって新しいビジネス・サービスを生み出すというミッションであれば

マッチメーカー「メンタリスト」、既存製品・サービスの市場浸透を実現するというようなミッションであればストーリーテラー」「コンシェルジュが特に強く求められます。

さらに、チーム構成として、多領域や複数企業が参画するチームになるのであれば

「ダイバースリーダー」を強くしておく必要がでてきます。

 

このように、戦略・ミッション実現に必要なキーファクターを担う人材タイプが強く求められることになります。

 

逆に、実行難易度は高いがリスクは低いミッションや環境面は整っているケースなどでは「ファイアファイター」「ステージデザイナー」の必要性は低くなるなど、活躍機会が想定しにくいものは必要性は弱いもしくは不要となります。

 

次に「量」という点については、それぞれの人材タイプが、常に平均的に必要なのか、前半立ち上げ期など、ここぞというときに多数必要なのか、その強さがどのように戦略実行作用していくのか、発生頻度と発生タイミングごとに求められる「量」を考慮しながら規定してくことになります。

 

・重要なもう1つの要素“つながり”

 戦略・ミッションに基づいて人材タイプの強弱と量が規定できました。

次に、行うべきは、それぞれの人材タイプのつながりの強さの規定です。

まだ人材タイプでの議論で個人名が入って来おりませんが、最終的には具体的な「誰か」がアサインされます。

そこには必ず好き/嫌い、合う/合わないといった人間的な部分が出てきます。

 

実はこの関係性がミッション・戦略の実現に大きく影響します。

「弱い」:仕事上・事務的なつながりができ、必要最低限のコミュニケーションがとれればよい

「標準」:一般的に連携がとれている状態。情報共有がなされ、タスク間が整合をとって進められる

「強い」:情報連携が密にされ、阿吽の呼吸で一体的に進めることが求められる。役割の同期が極めて重要

 

つながりは、上記3段階で整理し、実際の整理の方法としては、強くあるべきか、弱くてもよいか、どちらでもなければ標準と考えるとわかりやすいです。

 

・組織の文化・風土で補正する

ミッション・戦略に基づき、人材タイプの強弱、相互のつながりまで整理できました。

最後に必要なのが、組織のクセである文化・風土(行動や意思決定の傾向)により補正をかけることです。

例えば、「うちは実行は強いのだが、計画や検証が弱い」という企業においては

「ストラテジスト」「エグゼキュ―ションデザイナー」を強めにします。

 

また、「部門の独立性が高い(要はあまり仲良くない)」という企業で、横断での取り組み、チームを組む際にはマッチメーカー「ステージデザイナー」

ストーリーテラーを強くし、エクゼキューションを構成する4つの人材タイプ相互のつながりを1ランク高めておくといった工夫が必要になります。

なお、この補正は、必ずしも独立して行う必要はなく、慣れてくれば強弱・つながりを考える際に同時に行っても構いません

 

このように、人材タイプをミッション・戦略の実現に活かすには、強弱は言うまでもなく、つながりや組織文化・風土まで考慮する必要があります。

もちろん、ここで行った定義は仮設であり、実際には取り組みを推進しながらも最適化を行っていくことが求められます。

 

そして、いよいよ誰をアサインするのかです。

メンバーそれぞれがどのような人材タイプを持つのか、日ごろの行動や関係者へのヒアリングなどから把握します。

すでにご紹介しましたが、多くの場合1人が複数の人材タイプを有します。

 

メンバー夫々がどのタイプを持つのか、またそのつながり(フィットするか否か)の関係性は適切か、予め整理・把握し、不足する/しそうな人材タイプをどう調達するのか、他の人材定義と同様に育成施策・採用施策へと展開していくことが重要です。

 

最後に、組織・チームのインフレ(過剰品質)が起きないよう、くれぐれも定義は冷静に、“最低限必要な体制”というスタンスで検討ください!

 

5回にわたってお届けしました「新時代に必要な11人の戦士」シリーズは、今号で最終回となります。

 

「うちの企業では、どう使うべきか?」「行動特性をうちの企業向けにわかりやすくできないか?」「メンバーのアセスメント(どのタイプを持つのかの把握)は、どのようにすすめるべきか?」など、導入に向けたご支援を行っておりますので、ご興味のある企業様、ご活用したいコンサルタント/ファームの皆様、お気軽にお問い合わせください。

 

ご興味ございましたら、是非お問い合わせください。

 

T.Y

 

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