「事業と人を伸ばす本当の人事考課 ~1on1がもたらすパラダイムシフト~」
人も育ち、結果も出し続けているチームに共通する特徴はなんだろうか?「業績が成長しているのでチームの雰囲気が良い」「良い人材が集まっているので業績が伸びている」等、結果論的なものではなく、組織として、自らの力で安定的にそのような状態を作り出し・維持するための共通の特徴がそこに存在した。
それは、人事が常に目指し、チャレンジしてきた人事考課制度を事業のPDCAのツールとして埋め込み、人事考課で組織を成長させるという、 “組織成長の基本原理”を成立させる、制度運用の効率性・低負担化の中からはでてこなかった、
「当たり前の徹底」だった。
【人事考課は、そもそも「組織を成長させる要素を体系化したもの」だった】
組織や事業を成長させるために、目標と実行計画の策定・浸透、その進捗フォローと実行課題への対応が必要であることは言うまでもない。ただ、それだけでは足りない。
この、所謂、組織業績管理まででは、状態把握はできても、改善活動の推進力を生み出すことはできない。
そこで、マネージャー達は、この推進力を生み出すために、自ずと部下の活動管理を行い、課題改善、すなわち育成に取り組んできた。
この活動管理こそが人事考課そのものであり、故に「自ずと」取り組みの質・程度にマネージャー間で差がでていた。
それを標準化することでベースアップを図り、継続実施を支えるよう昇進や報酬といった処遇とも連動させ、モチベーションに作用するように体系化したのが人事制度である。
しかし、この成り立ちに反して、「活動管理」と「人事考課」の両者はそれぞれの道を歩いたままであり、人事考課は、いまだに、年2回ある面倒な事務作業となったままである。
【制度を回す“事務”に工数が割かれ、“信頼関係構築”が犠牲になった】
このような状況において、多くの企業でとられたアプローチは“人事考課制度の徹底運用”だった。
いかにマネージャーの活動管理を効果的に実行するかではなく、制度サイドからの改善と運用徹底のアプローチだった。つまり、誰もが頭ではわかっている制度の必要性を説き、同時に制度の運用負担を減らすことで、ルール通りに確実に制度を運用してもらおうという“少なくともこれだけはお願いアプローチ”である。
その甲斐もあり、制度実施率(手続きとしての取り組み完遂度)は高まった。しかし、従業員満足度調査などから出てくる回答は、いまだに「人事考課が機能していない」である。
やるべきことがルール通りやられているのに、機能していないのである。
実はこれは当然の帰結であり、考課の大前提である考課者と被考課者の信頼関係の構築が十分でないことが起因している。
制度改善の“これだけはお願いアプローチ”は、制度の枠組みの範囲内で効率性を追求するアプローチであり、いかにマネージャーの活動管理の効率性と有効性を高めるか?という本質課題へのアプローチではない。
人が人を評価するという絶対解のない世界において、もっとも重要な“上司と部下との信頼関係構築”を現場に任せたまま、制度のみの改善、個別最適を追求してしまったのである。
もちろん全てのチームがこのような状況であるわけでなく、組織も人材も成長し、人事考課もきちんと機能しているチームもある。
【「コミュニケーション」と「ログ」。これが、マネージャーと部下、お互いを高め合うツール】
その機能しているチームのマネージャーらに話を聞くと、決まって言うのは、
“「コミュニケーションを意識してとっている」という点である。
コミュニケーションをこまめにとることで、リアルタイムに現場の状況を把握でき、良いことも悪いこともその場で認識でき、褒めたり、解決したりできる。
また、部下の力がどの程度のレベルか、具体的につかめ、それが部下にも伝わる。
よって、この高頻度コミュニケーションの継続が、部下との信頼関係を構築し、報連相の心理的ハードルも下がるのだ“
と、これだけ聞くと、さぞかし忙しいのだろうとか、マネジメント業に専念しているのだろうなど思うかもしれないが、決してそんなことはない。
ミーティング前後の端切れ時間や、移動中、昼食や飲み会の席など、ちょっとした2人きり(1on1)の時間をうまくつかってコミュニケーションをとっているのである。
中には考課のフィードバック(FB)もわざわざ時間を取らず、上記のようにカジュアルに済ませてしまうケースもあった。
もちろん、その対話の中から、これは…と思った時には別途きちんとした場と時間をセットして対応するとのことだが、そこまでの話は滅多になく、上記の対話で大方はすんでしまうらしい。
同様に部下の方に聞くと、「いつでも相談やアドバイスがもらえるのでよい」「いつも話しているので、わざわざ評価のFBをもらわなくても、だいたい結果も課題もわかっている」とのことだった。
これまでの常識として、人事考課は大変だから少しでも時間をとらないようにとしてきた、考課情報の収集や、フィードバックのための理論武装などが、逆に部下とのまとまった面談時間の確保の難しさと面談の長時間化を招いていたのだ。
日頃の継続的なコミュニケーションが、実は負担を減らし、効果も高めるという、今までのアプローチとは真逆のアプローチこそが、本当は必要なものだったのだ。
【高頻度のカジュアル1on1で組織と人を伸ばす】
この1on1、やり方に若干の差こそあれ、すでに複数の企業で採用され始めている。
いずれのケースでも、導入当初は、その面談頻度の多さから抵抗があり拒絶されるケースもあった。
しかし、やり始め、慣れ始め、そして考課が一周するころにはその有効性と効率性を体感し、より有効に効率にできるよう現場での独自の改善プロセスが回りだすという(有効性を感じたときの現場の力とは本当にすごいものである)。
週1回、隔週で、月1は必ず・・・それぞれの現場で無理なく現実的なプロセスへと収斂され、生きた自分たちの1on1として運用が始まる。
これこそが人事が長年目指してきた、事業のPDCAと人事考課の一体化である。
さらには、言いっぱなしの一話完結型でなく、簡単にログを残して、「前回言っていたXXって、その後どうした?」、「前回アドバイスしたXX、やってみてどうだった?」
と継続的にフォローできるようにしたり、部下が異動した際の、簡にして用をなす引継ぎ資料として活用するといった工夫も講じられている。
この1on1、実は人事考課と部下のためだけでない。
このプロセスを通じ、マネージャーは様々な課題に直面することになる。それぞれ異なる部下の持ち込むそれぞれの課題に1つ1つ向き合って、解決していかなければならない。
これはマネージャー育成にとって最高の場であり、マネジメント力・人間力両面で鍛えられる、どんな研修よりも効果のある取り組みなのである。
人事考課に同様の課題を感じる読者の皆様も、是非1on1をとり入れてみてはいかがであろうか?
DLAは、ダイバーシファイされた組織の力を最大限に引き出し、個々の力を組織の成長へとつなげる人事考課制度の設計・運用サポートを行っております。ご興味がありましたお気軽にお問合せください。
T.Y
マネジメント即戦力を即効力で支える ~戦略人材の導入後の初動を後押しせよ~
【即戦力の見極め】
昨今、メディアでも即戦力や戦略人材などの言葉が日常的に使われているような気がしております。 テレビコマーシャルの中でもBizXXが“即戦力”の人材をテーマにテレビコマーシャルを出しているのも印象的です。
事業ニーズの多様性により、それに対応すべく“即戦力”や“戦略人材”の必要性が高くなっていることの表れだと思いますが、皆様の企業でも外から業界経験者や特定のリレーションを強く持っている人材、他業界人材などを意図的に採用する機会もあるのではないでしょうか?
そんな中、いわゆる“即戦力人材”をどのように選考するのか?即ち、見極めることがこれまで以上に求められていますが、皆様の企業ではいかがでしょうか?
現場営業系、技術系であれば、経歴や資格などを基にヒアリング(1次面接、2時面接、人事面接)・レファレンスといったところでしょうか? “即戦力”として採用したい戦略的なマネジメント人材も同様と思われます。
しっかり面接したはずの人材が入社してから想定のパフォーマンスを出せないケースがありませんか?
これは、皆様が一般的に採用しているプロセスそのものに問題があるのではなく、工程間でのアライメント行為が正しく実施されていない、即ち採用側とされる側のエクスペクテーションに理解の相違が生まれ、戦略人材入社後の行動に迷いが生じるからです。
つまり、採用プロセスの過程で、即戦力人材に明確なミッション・エクスペクテーションを共有し、それに対する回答・ソリューションへのディスカッションをする事で、求める戦略人材なのかを見極める事が重要です。
さらにこの行為は、面談を受ける側にとっても自身がそのミッションに対して、パフォーマンスが発揮出来るかを見極める機会にもなります。
【即戦力 & 即効力】
さて、ではアライメント形成のプロセスを経て、採用された“即戦力”・戦略人材は、入社してからの1週目、2週目はどんな行動をしていますか?
大抵は、仕事をするための様々なセットアップやアドミニ関連の調整をしている姿を見かけたりしませんか?
いくら“即戦力”で採用した戦略人材でも、セットアップやアドミニ調整に時間を取られていてはエクスペクトされているパフォーマンスをすぐには出ません。コストをかけて戦略的に採用した人材ならば、採用側は様々な観点から職場でのロンチサポートする事が会社にとっても、採用された側にとってもメリットになります。
こういった、戦略的人材を採用した際には、ロケットスタートプログラムとして、30Days Launch Plan, 90Days Launch Planを設定し、ショートタームで目標・達成を体験させて、本人が成功を実体験し、本来持ち合わせている力を十分に発揮し、組織への+影響を意図的に生み出させる事が重要です。
戦略人材のロンチ成功要員は、
- すぐに稼動できるように、極力セットアップの手間をはぶく
- 入社組織内のナレッジや連携がすぐに活用できるように、組織マトリックス(Who and What to ask)を用意することで情報収集/連携がスムーズに出来るようにし、価値あるコミュニケーションを即実践できるようにする
- アライメントされたエクスペクテーションへのショートタイム目標と達成マイルストーンを設定する
などのロンチサポートを考慮する事が成功の鍵になります。
DLAでは、多様化する人材とその採用を成功させるために、採用サポートから採用された人材(戦略人材)のロケットスタートプログラムもお手伝いさせて頂いております。ご興味のある方は、是非お問い合わせください。
プルック・エディー・ヴィリヤブパ
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「人より10歩先に行っているのは、2歩後ろにいる人と一緒」
【誰も気にしないメッセージ】
タイトルの言葉は、ピコ太郎こと、古坂大魔王氏の言葉ですが、今日は昨今クライアント先で毎回のように頂くお題として、コミュニケーションの旬について考えてみたいと思います。
先進的な取り組みをされている企業でも、時代の流れでやや後塵を拝する企業でも、悩みのポイントはほぼ同じ、メッセージが響かない、届かない、理解されないというものです。
身近な例を考えてみましょう。
一世を風靡したギャグでも、2年前の「ネタ」は、「使い古し」、「時代遅れ」など「いけてない」イメージがあり、気にされないメッセージになってしまいますね。
同様に、10年先の「ネタ」はどうでしょう?
早すぎて、理解できない、ついて行けないなど、面白くない内容になってしまい、結局は届かないメッセージとなってしまうでしょう。
正に、古坂氏の言葉が示す通り、「過ぎたるは及ばざるが如し」ですね。
【旬を感じるには】
では、上手く旬にフィットしたメッセージは如何にして発信できるのでしょうか?
そもそも、旬とは何か?を考えてみる必要があると思います。
ギャグの例で言えば、確かに旬は存在しますが、20年前の「ネタ」が面白い、いわゆるリバイバルという旬が存在することはご存知の通りで、旬というのは流動的な概念だと言えます。
一方、普遍性という概念も存在し、宗教の説教や哲学、経験に裏付けされた法則などは、時代を超えた説得力がある存在と言えるでしょう。
普遍性の内容は学びが必要ですが、旬を捉える基本は、届ける相手を知ることが欠かせません。
今日は相手を知るための、「聴くこと」と「想像すること」のヒントを2つご紹介したいと思います。
【合わせることを学んで欲しい】
秋田の東成瀬小学校、中学校を訪問した際の出来事をご紹介します。
この小中一貫校については、全国でも名前が轟く有名校なので、詳しくは以下を参照して下さい。
小中連携研究会について(秋田魁新聞)
https://www.sakigake.jp/news/article/20180801AK0016/
教育方法について(女性セブン)
https://www.news-postseven.com/archives/20160730_434208.html
図書について(女性セブン)
https://www.news-postseven.com/archives/20160802_434518.html
鶴飼教育長インタビュー
https://libinfo.fjas.fujitsu.com/libschool-vpr/post_19.html
この学校では、ほぼ全ての生徒が合奏部に所属しており、何らかのパートを担っています。
もちろん情操教育の一環という側面は間違いなくあるのですが、その本質は、「合わせる」ことを体験して欲しいというものです。
合奏は全員の息が合わなければ、綺麗なメロディーにはなりません。
従って個人パートの鍛錬もさることながら、アンサンブルをしっかり練習し、オーケストラとして美しいハーモニーを奏でるためには、各パートの息を合わせることが肝になります。
「他のパートと合わせることを学んで欲しい」との思いから、全生徒に体験してもらっているそうです。
【一緒に歌うことは、聴くことを学ぶこと】
ウーマンオブザ・ワールドという、バークリー音楽学院出身のインド、イタリア、日本、ハイチ系アメリカの4人の女性シンガーから成るボーカル集団で、31カ国語以上のレパートリーを持っている、2014年全米アカペラチャンピオンです。
世界各国を訪問しながら、現地の言葉で現地の歌を歌うことで世界とつながる活動を行なっているそうで、先日来日し、ラジオ番組での出演時にMCのジョンカビラ氏に活動について聞かれた際、一人のメンバーが、
「一緒に歌うことは、聴くことを学ぶことだ」
とコメントしていたのが印象的でした。
【旬とは相手にとっての今】
今日の事例から何を学べるのでしょうか?コミュニケーションとは、正しく伝えることより、相手に伝わる、理解してもらえることを重視した、相手の「今=旬」を考え抜くことなのではないでしょうか。
ただし、ややもすると何処かの国の政府や行政で横行している、「忖度」にならないように注意は必要でしょう。
それについては、DLAの理念である、多様性とは多数派が少数派を許容するのではなく、人間は全て等価(=シンメトリー)であり、お互いの能力を引き出すという心構えが必要ですね。
詳しくは過去記事をご参照ください。
DLAでは相手の旬を考えたコミュニケーショントレーニングを実施しています。ご興味のある方は是非お問い合わせください。
金杉リチャード康弘
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