ダイバースリーダーシップ推進協会 ブログ

ダイバーシティと多様性を強みに変える組織作りコンサルティング 育成のプロ集団、ダイバースリーダーシップ推進協会のブログです。

あなたの身の回りの多様性に気づく「コツ」(「なぜ多様性に気づきにくいのか」に目を向けること)

「多様性は外部からもたらされる」のか?

多様性・ダイバーシティの話題になると、
「とはいえうちのメンバーは皆な似たような社風・価値観に染まってしまっていて、新しい視点なんて出てこないんですよ。。。」
「やっぱり外から新しい血を入れないとダメですよね」という声が聞かれることがよくあります。

 

「異なる価値観に触れてみる」という「だけ」であればそれも効果はあるでしょう。
しかし、それで本当にその組織に多様性がもたらされるでしょうか?

 

実際に外部から受け入れた人材に対して、「前の組織ではそうかもしれないが、うちでは上手くいかないよ。。」「やっぱり外から来てもらった〇〇さんは分かってる。だけどうちのメンバーは相変わらずだなあ。。」という受け入れ側の問題と、外部からの人材も、やたらと「以前の組織ではこうだったからこうすべき」という、受け入れられ側の問題…等々、多様性を受け入れ・活用するには至らないケースが多く生じています。

 

「多様性は見出すもの」

以前のメルマガ

難易度最高ランクのダイバーシティ 意見の多様性に取組むには

でも触れたように、一見同じに見える人でも、意見のダイバーシティは本来あまた存在しています。

それに「気づいて」、「受けとめて」、「活用できるか」、という基本動作ができなければ、外部から異なる要素を取り込もうとしても、一過性のイベントとして終わってしまう可能性が高くなります。

 

「なぜ多様性に気づくのは難しいのか」

身近な多様性に気づき、受けとめるのはなぜそんなにも難しいのでしょうか?
それには大きく2つの「人がそもそも持っている習性」が関係しているように思われます。

 

 

習性1. 人には物理的/精神的に近い(類似点がある)ものに親近感を抱く傾向がある

皆さんも直感的に「それはそうだろう」と感じられると思います。
身近なことや、類似点があるものは共感しやすく、親近感が湧くことにつながるということですね。

 

しかし一方で、実はここにちょっとした「ワナ」も潜んでいるのです。

同じ組織に属しているというだけで心理的な距離は近いですし、すでに一定の類似点があるため親近感は湧きやすいのですが、
逆に「相違点に目をつぶろうとする」(「相手あるいは自分自身もそうなはずだ」と思い込む)傾向も生じてしまうのです。

 

つまり、そもそも「人の習性」として、距離感の離れたもの/類似点の少ないものに偏見を持ちやすいのと同様に、同じ組織に対して「相違点がないだろう」と思ってしまいやすい、ということです。

 

習性2. 人には「自分の選択・行動は正しい」と信じようとする傾向がある

これは決して「我の強い性格の人がいる」という類のことではありません。
人は、複数の矛盾した情報や状況に直面した時、「自分自身の選択・行動は正しかった」と「自分自身を信じ込ませようとする」傾向があるのです。

 

例えば:

  • 何かを買った後に、より良い(価格や性能等)条件ものが見つかった場合でも「私の買ったこちらの方が良かった」理由を見出そうとする。
    (「高い分だけ効果がある」と感じる、「色や形などに愛着がある」と感じる、等)
  • 競馬の馬券を買った後に、購入前よりも、自分が選んだ馬に対する自信を深める。加えて過去に負けた記憶より、一度でも勝った記憶だけを思い出す。
  • 酒やタバコなど、やめたいと思いながらもやめられない時に、「やめる必要がない」理由を見出そうとする。(「喫煙者でも長寿な人がいる」、「一定量の飲酒は身体に良い」、等)

 

また例えば「フェスティンガーの実験」として知られる心理学者の実験では、「単調な(つまらない)作業」に対して「より少ない報酬を支払った学生」の方が、「その作業は楽しく、有意義だったと回答する率が高い」という実験結果が出ました。

 

つまり、「自分のしたことはつまらない」と思うよりも「本当は面白かったのかもしれない」と思う方が納得しやすい時、人は自分自身をそのように「認知に習性を加えようとする」傾向がある、ということが実験で確かめられたのです。

(高い報酬をもらった方が「つまらないことに付き合わされた対価としての妥当性」を納得しやすいため、素直に「つまらない」と回答する率が上がったと考えられています。)

 

「人の習性は、多様性に気づき、受けとめることをどのように阻害するか」

結果、「人の習性」として身近な多様性に向き合おうとする際に、本能的に次のような反応が生じます。

  • まず「既存の組織・メンバーは、私の知っている(イメージしている)既存の組織・メンバーである」という「期待値(思い込み)」が形成されます。→「気づくこと」への阻害
  • 次に「期待値(思い込み)」と外れた事象を認知した際に、「それはおかしい」という「自分自身の期待値(思い込み)を優先し、相手を否認する反応」が生じます。→「受けとめること」への阻害

これは「多かれ少なかれ、人であれば誰でも生じる、自然な反応だ」というところがポイントです。

 

「多様性に気づくコツ」

さてここまで「人は誰しも、そもそも身近な多様性に気づきにくい習性を備えている」ということを説明してきました。

これをベースに、筆者が実践している「多様性に気づくコツ」をお伝えしたいと思います。

  1. まず「気づきにくいものである」ということを認識し、「向き合い、見出してみよう」という「意識」を明確にもつこと。(それが「コツ」なのか?と思われるかもしれませんが、それこそが「コツ」なのです)
  2. そして、例えば誰かと向き合う時には、「身近であるが故に踏み出しにくいことにチャレンジしようとしている」ということを、「明確に言葉にして共有する」こと。
    (「達成したい目的がある」ということを可視化し共有することで、相手に対する同調圧力を緩和するとともに、自分自身の「受けとめ」を阻害するハードルを下げる効果もあります)
  3. そして最も重要なポイントですが、相手が「実はこういう見方もあるのではないか」という「自分自身とは異なるもの」を提供してくれた時、
    「え?だってそれって」という反応が自分の気持ちの中に生じるのを感じたら、その瞬間に「この反応こそが、多様性を阻害する、人としての普通の反応だ」と認識してみましょう。
    実はこの「おや?」と感じた瞬間の違和感こそが「多様性の芽」に接した時の「最もポピュラー」な反応のひとつなのです。(自分の想定と同じ反応が来るはずだ、と期待している場合に特に。)

 

具体的には、とにかく「え?」と思ったら、否定の言葉を発するのではなく、受け入れる。「相手に賛同した」という意味ではなくて良いので、「まず意見を一旦受けとめた」ということを相手も自分も分かるように言葉にするのです。「なるほど」

 

一旦「なるほど」ということで、「自分自身が違和感を受けた = 自分とは違う見方がそこにある」ということに向き合う「間」ができます。

それにより「なぜ自分と同じように見ないのか」と問い詰めるのではなく、「なぜ相手はそのように考えるように至っているのか」ということを理解するプロセスを始めることができます。

 

いかがでしょうか?今回のメルマガでは「人がもつ習性」に着目して、身近な多様性に気づくコツを考えてみました。皆さまのご参考になれば幸いです。

 

I.Y.

 

 

こちらの記事は、メルマガにて先行配信されます。

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あなたの身の回りの多様性に気づく「コツ」(「なぜ多様性に気づきにくいのか」に目を向けること)

「多様性は外部からもたらされる」のか?

多様性・ダイバーシティの話題になると、
「とはいえうちのメンバーは皆な似たような社風・価値観に染まってしまっていて、新しい視点なんて出てこないんですよ。。。」
「やっぱり外から新しい血を入れないとダメですよね」という声が聞かれることがよくあります。

 

「異なる価値観に触れてみる」という「だけ」であればそれも効果はあるでしょう。
しかし、それで本当にその組織に多様性がもたらされるでしょうか?

 

実際に外部から受け入れた人材に対して、「前の組織ではそうかもしれないが、うちでは上手くいかないよ。。」「やっぱり外から来てもらった〇〇さんは分かってる。だけどうちのメンバーは相変わらずだなあ。。」という受け入れ側の問題と、外部からの人材も、やたらと「以前の組織ではこうだったからこうすべき」という、受け入れられ側の問題…等々、多様性を受け入れ・活用するには至らないケースが多く生じています。

 

「多様性は見出すもの」

以前のメルマガ

難易度最高ランクのダイバーシティ 意見の多様性に取組むには

でも触れたように、一見同じに見える人でも、意見のダイバーシティは本来あまた存在しています。

それに「気づいて」、「受けとめて」、「活用できるか」、という基本動作ができなければ、外部から異なる要素を取り込もうとしても、一過性のイベントとして終わってしまう可能性が高くなります。

 

「なぜ多様性に気づくのは難しいのか」

身近な多様性に気づき、受けとめるのはなぜそんなにも難しいのでしょうか?
それには大きく2つの「人がそもそも持っている習性」が関係しているように思われます。

 

 

習性1. 人には物理的/精神的に近い(類似点がある)ものに親近感を抱く傾向がある

皆さんも直感的に「それはそうだろう」と感じられると思います。
身近なことや、類似点があるものは共感しやすく、親近感が湧くことにつながるということですね。

 

しかし一方で、実はここにちょっとした「ワナ」も潜んでいるのです。

同じ組織に属しているというだけで心理的な距離は近いですし、すでに一定の類似点があるため親近感は湧きやすいのですが、
逆に「相違点に目をつぶろうとする」(「相手あるいは自分自身もそうなはずだ」と思い込む)傾向も生じてしまうのです。

 

つまり、そもそも「人の習性」として、距離感の離れたもの/類似点の少ないものに偏見を持ちやすいのと同様に、同じ組織に対して「相違点がないだろう」と思ってしまいやすい、ということです。

 

習性2. 人には「自分の選択・行動は正しい」と信じようとする傾向がある

これは決して「我の強い性格の人がいる」という類のことではありません。
人は、複数の矛盾した情報や状況に直面した時、「自分自身の選択・行動は正しかった」と「自分自身を信じ込ませようとする」傾向があるのです。

 

例えば:

  • 何かを買った後に、より良い(価格や性能等)条件ものが見つかった場合でも「私の買ったこちらの方が良かった」理由を見出そうとする。
    (「高い分だけ効果がある」と感じる、「色や形などに愛着がある」と感じる、等)
  • 競馬の馬券を買った後に、購入前よりも、自分が選んだ馬に対する自信を深める。加えて過去に負けた記憶より、一度でも勝った記憶だけを思い出す。
  • 酒やタバコなど、やめたいと思いながらもやめられない時に、「やめる必要がない」理由を見出そうとする。(「喫煙者でも長寿な人がいる」、「一定量の飲酒は身体に良い」、等)

 

また例えば「フェスティンガーの実験」として知られる心理学者の実験では、「単調な(つまらない)作業」に対して「より少ない報酬を支払った学生」の方が、「その作業は楽しく、有意義だったと回答する率が高い」という実験結果が出ました。

 

つまり、「自分のしたことはつまらない」と思うよりも「本当は面白かったのかもしれない」と思う方が納得しやすい時、人は自分自身をそのように「認知に習性を加えようとする」傾向がある、ということが実験で確かめられたのです。

(高い報酬をもらった方が「つまらないことに付き合わされた対価としての妥当性」を納得しやすいため、素直に「つまらない」と回答する率が上がったと考えられています。)

 

「人の習性は、多様性に気づき、受けとめることをどのように阻害するか」

結果、「人の習性」として身近な多様性に向き合おうとする際に、本能的に次のような反応が生じます。

  • まず「既存の組織・メンバーは、私の知っている(イメージしている)既存の組織・メンバーである」という「期待値(思い込み)」が形成されます。→「気づくこと」への阻害
  • 次に「期待値(思い込み)」と外れた事象を認知した際に、「それはおかしい」という「自分自身の期待値(思い込み)を優先し、相手を否認する反応」が生じます。→「受けとめること」への阻害

これは「多かれ少なかれ、人であれば誰でも生じる、自然な反応だ」というところがポイントです。

 

「多様性に気づくコツ」

さてここまで「人は誰しも、そもそも身近な多様性に気づきにくい習性を備えている」ということを説明してきました。

これをベースに、筆者が実践している「多様性に気づくコツ」をお伝えしたいと思います。

  1. まず「気づきにくいものである」ということを認識し、「向き合い、見出してみよう」という「意識」を明確にもつこと。(それが「コツ」なのか?と思われるかもしれませんが、それこそが「コツ」なのです)
  2. そして、例えば誰かと向き合う時には、「身近であるが故に踏み出しにくいことにチャレンジしようとしている」ということを、「明確に言葉にして共有する」こと。
    (「達成したい目的がある」ということを可視化し共有することで、相手に対する同調圧力を緩和するとともに、自分自身の「受けとめ」を阻害するハードルを下げる効果もあります)
  3. そして最も重要なポイントですが、相手が「実はこういう見方もあるのではないか」という「自分自身とは異なるもの」を提供してくれた時、
    「え?だってそれって」という反応が自分の気持ちの中に生じるのを感じたら、その瞬間に「この反応こそが、多様性を阻害する、人としての普通の反応だ」と認識してみましょう。
    実はこの「おや?」と感じた瞬間の違和感こそが「多様性の芽」に接した時の「最もポピュラー」な反応のひとつなのです。(自分の想定と同じ反応が来るはずだ、と期待している場合に特に。)

 

具体的には、とにかく「え?」と思ったら、否定の言葉を発するのではなく、受け入れる。「相手に賛同した」という意味ではなくて良いので、「まず意見を一旦受けとめた」ということを相手も自分も分かるように言葉にするのです。「なるほど」

 

一旦「なるほど」ということで、「自分自身が違和感を受けた = 自分とは違う見方がそこにある」ということに向き合う「間」ができます。

それにより「なぜ自分と同じように見ないのか」と問い詰めるのではなく、「なぜ相手はそのように考えるように至っているのか」ということを理解するプロセスを始めることができます。

 

いかがでしょうか?今回のメルマガでは「人がもつ習性」に着目して、身近な多様性に気づくコツを考えてみました。皆さまのご参考になれば幸いです。

 

I.Y.

 

 

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「関心し合う組織」〜新しい目標管理のススメ

【サイロ化でも間に合った時代の終焉】

筆者は仕事柄、様々な企業に伺い、そのお悩み(?)を伺うことが多い。その中で典型的なものの1つは以下のようなものです。

 

部門横断がない(すなわちサイロ化が進んでいる)、他部署を知らない。

というものです。

 

客観的な立場から拝見すると、必ずしもネガティブな文脈で語られるという訳ではなく、寧ろ強みの源泉として語られれることも少なくないと感じています。

 

確かに、コミュニケーションコストが低く(ツーと言えばカー)、同じ文脈を共有しており、効率化、迅速、改善という、今あるものを更によくするという方向では非常に良く機能する側面があることは事実だと思います。

 

しかし、昨今のように激しい変化の只中、あるいは眼前にある状況下では、意外性、多様な価値観、新たな着眼点でのイノベーションが求められ、同質性は寧ろマイナスに働く確率が高くなる時代の到来と言えるのではないでしょうか。



【「管理する」から「関心し合う」へ】

しかし、単に多様化と言っても、いたずらに組織を横串にして効果が出るものか?という疑問の声は必ず上がります。

 

そんな疑問に対する1つのヒント、多様化へのキーワードは、「管理する」から「関心し合う」だと考えています。

 

 

向かうべき方向性やゴールが明確な場合、質の高い計画としっかりした目標管理ができれば、その達成はある程度の確率で期待できます。

 

しかし、不確定(答えのない)な問いに対する達成(解)は計画の質を上げることはおろか、何を管理すべきなのかさえ、不透明な状態となります。

 

やるべきことを愚直に実施する世界観から、未知のものに沢山出会い、多くの刺激の中からやるべきことを探し出す世界観への移行は、広い視野、解らないものを面白がれる気持ち、互いの知恵を引き出し合う試行錯誤などが重要になります。

 

そのためには、全ての参加者がお互いに関心し合う、多角形の対角線のような幾何学模様の視点が必要です。



【関心し合う目標管理】

加えて、その未知の取り組みを、どのように評価するか、どのように進捗をフォローするか?という目標管理は、固定的な目標(ゴール)と、愚直な進捗管理ではワークしません。

 

そこでのキーワードは3つ。

 

①俯瞰的に見て設定できる

②全員の進捗が誰でも見られる

③誰でも自由に口出しができる

 

つまり、全員がお互いに関心を持つ文化の醸成に他なりません。

 

上記3つのキーワードを含め、DLAでは、GoogleFacebookなどシリコンバレーの企業で採用されている、OKR(Objective and Key results)という目標管理の仕組みを、更に一歩踏み込んでMulti Perspective OKR(多角的OKR)の導入支援を行なっています。

 

ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。




金杉リチャード康弘

 

 

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dla.or.jp